国会よりBlog

11月1日TPP特別委員会議事録

【注】本議事録には岸田外務大臣の答弁の誤りが訂正されないまま掲載されています。事の経緯は以下をご覧下さい

阿部知子に対する岸田外務大臣答弁について発行済み会議録の訂正という異例の事態

 

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○阿部委員 民進党の阿部知子です。

 本日は、質問のお時間をいただき、ありがとうございます。

 私は、きょうは主に医療分野で質問をさせていただきたいと思いますが、冒頭、せっかくいただきましたお時間ですので、岸田外務大臣に、このTPPと直接には関連いたしませんが、我が国のまさに国際的に占める位置、役割ということにおいて、さきの核兵器禁止条約における対応、大臣のお地元の広島もそうです、大変、被爆者の皆さんも残念に思っておられる。先ほど石原伸晃大臣がおっしゃいましたが、我が国が世界のルールメーキングのリーダーとなるとすれば、この核兵器の禁止というのは最も肝要な、日本こそ最先端でやるべきことだと思います。

 この点について、岸田外務大臣に、なぜ日本の対応がこのようなものになっているのか、お尋ねをいたします。

○岸田国務大臣 まず、我が国の核軍縮・不拡散に対する考え方は、一貫して一つの考え方に基づいて取り組んでいるということを申し上げさせていただきます。

 すなわち、我が国は、核兵器の非人道性に対する正確な認識とそして厳しい安全保障環境に対する冷静な認識、この二つの認識に基づいて、核兵器国と非核兵器国の協力のもと、現実的、実践的な取り組みを進めていく、これこそが核兵器のない世界を実現するために有効な取り組みであるという基本方針のもとに取り組んでおります。

 そして、先般、国連総会第一委員会におきまして、各国が提出した決議について採決が行われました。その中の一つの決議についての我が国の対応について御質問いただいたわけでありますが、各国が出しました一連の決議の対応についても、今申し上げました基本的な方針を貫いているというのが我が国の対応であります。

 そもそも、我が国自身も決議を提出しているわけでありまして、今申し上げました基本的な方針に基づいて我が国の決議を提出した、結果として、米国を含む百を超える多くの国から共同提案国になってもらい、そして、結果的に百六十七、多くの国々から賛成してもらう、最も多くの国から支持を得た、これが我が国の決議でありました。我が国の基本的な考え方が、この核軍縮・不拡散の議論の中で、国際社会において最も多くの支持を集めているという結果となりました。

 そしてその上で、御指摘の決議について、要は核兵器禁止条約の交渉開始を含む決議について、我が国の対応について御質問いただいたわけでありますが、その決議に対しまして我が国は反対をいたしました。この反対の趣旨は、先ほど申し上げました二つの認識に基づく現実的、実践的な対応にそぐわないのではないか、さらには核兵器国と非核兵器国の協力を重視するという立場にも沿わないのではないか、こういった理由で反対を表明したわけであります。

 こうした我が国の考え方、評価は、他の国々の御指摘の決議に対する賛否にもあらわれていると考えています。すなわち、他の国々の賛否の結果は、御指摘の決議に北朝鮮は賛成をしました、そして、五つの核兵器国は全て賛成しませんでした、そして、我が国と同じく非核兵器国として核軍縮・不拡散に取り組んできたドイツ、あるいはオーストラリア、あるいはオランダ、こういった国も全て賛成をしておりません。こうした各国の賛否の結果を見ましても、我が国の御指摘の決議に対する判断、これは裏づけられているのではないか、このように感じています。

 そして、御指摘の決議は結果的に採択されました。来年から核兵器禁止条約の交渉が開始されるということが確認をされたわけであります。この交渉においては、我が国は、引き続き、核兵器国と非核兵器国の協力を重視する立場から、堂々と議論に参加するべきであると思います。唯一の戦争被爆国として、核兵器国と非核兵器国の橋渡し役としてこの議論にも堂々と参加するべきだと私は思っています。具体的には手続がこれから確認されて、政府として正式にその対応を判断するわけですが、現時点において私はそのように感じているところであります。

 このように、我が国の決議においても、御指摘の核禁条約の交渉開始に関する決議においても、そして今後の交渉においても、我が国は核兵器国と非核兵器国の協力を重視する立場を貫いております。今後も、この方針をしっかり貫きながら、唯一の戦争被爆国として、核軍縮そして不拡散の議論を堂々とリードしていきたいと考えています。

○阿部委員 核兵器の不拡散あるいは廃絶に向けて、まず第一に、この非人道的兵器を使わない、禁止するということは不可欠な一歩だと私は思います。化学兵器も生物兵器もそういう意味で禁止されております。人道に対する罪だからであります。

 特に大臣にあっては、御自身の御地元での経験もおありでありましょう。我が国がこれは使ってはならないものだと明確にしない限り、おっしゃったように北朝鮮が賛成した、いいことではありませんか、使わない、この北東アジアの核をめぐる状況に一つ前向きになると私は思うべきだと思います。

 きょう、この場はTPPの問題ですので、これ以上私もこのことに時間を費やしませんが、今の大臣の御答弁は大変に残念ですし、日本がこれまで歩んできた核廃絶、あるいはそのことの本気度、実際に何をステップにしていくのか、やはり使わない、お互いに使わないということから始まるものだと私は思っております。(岸田国務大臣「一言だけ」と呼ぶ)では。

○岸田国務大臣 核兵器のない世界を目指す、この目標を多くの国が共有しています。そして、私は、三年十カ月外務大臣をやる中で、核兵器国と非核兵器国の協力なくして結果を出すことはできない、こういったことを確信する場面に多々直面してきました。

 こうした経験の中で、核兵器を持っていない国だけが理想を掲げても、核兵器を持っている国がその外にいたのでは結果に結びつかない。この現実の中で具体的に結果を出すためにはどうしたらいいのか、それこそ責任ある対応ではないか、こういった信念に基づいて、一つの考え方に基づいて、具体的なそれぞれの課題について判断を下してきました。

 この判断は決して簡単なことではありませんが、説得力を持つためには、一つの信念、立場、これを貫いていかなければなりません。今申し上げましたこの考えに基づいて、先ほど申し上げました基本的な立場、これをしっかり守りながら、今後も努力をしていきたいと申し上げております。

 残念だというお言葉がありました。しかし、私は、私の経験、考え方に基づいて、一つの考え方を貫いた結果であるということも御理解いただきたいと思います。

○阿部委員 基本的な我が国の立場とは、戦争による核の使用で被爆をしたということであります。そして、これは到底どんなことにおいても許される状況ではないんだということをまず、これは我が国が戦争による被爆国である、そこからくるものであります。

 本来であれば外務委員会などで、さらに岸田外務大臣には頑張っていただきたいので、私はこのことの論議は深めていきたいと思います。

 本来のTPPに戻らせていただきます。

 岸田大臣に引き続いてお伺いいたしますが、十月の二十七日の日に共産党の笠井委員がお取り上げの、いわゆるサイドレターについてでございます。

 これまでEPAとかWTOとかいろいろな他国との協定がございました中で、特に医療保険分野に特記して、このサイドレターは将来の医療保険分野でのさまざまな協議も含むということがわざわざ書かれたものでございますが、これまでの中でそのようなものはございましたでしょうか、前例が。お伺いいたします。

○岸田国務大臣 今回我が国が取り交わしたサイドレターは全部で二十一本あったと承知をしていますが、その中の一つについて御質問をいただきました。

 御指摘のような医療保険に関するサイドレター、これはこれまで、TPP協定以外の交渉において我が国が同様のサイドレターを交わしたということはないと承知をしています。

○阿部委員 前例のないことがわざわざ、サイドレターは法的拘束力は持たないんだ、協議するだけだということでありますが、わざわざ書かれることにはやはり意味があるんだと思います。このわざわざ書かれたことの中で、もちろん、日本側にとってもメリットがあるから書かれたものと思います。アメリカのフロマンさんから来て、日本側もお返しというか返礼をしたわけですから。

 塩崎大臣に伺いますが、このサイドレターの日本側にとってのメリットは何でありましょう。特に医療保険制度の協議に道を残しているということにおけるメリットは何でしょう。

○塩崎国務大臣 医薬品、医療機器に関する附属書の適用範囲については、それぞれの国の医療保険制度を踏まえて適用範囲が定められることになっておりまして、我が国は、公的医療保険における薬価制度、そして米国は、国が公定価格を決める一部のメディケアが想定をされておるわけでございます。

 この附属書に関連して日米で交わされた今御指摘の交換文書、いわゆるサイドレターでございますが、ここにおきましては、日米は、医療機器産業が両国の社会経済における保健医療に対して有益な貢献をしていることを確認するとともに、医薬品及び医療機器に関する附属書で合意をされた内容につきまして、附属書に規定をする協議制度の枠組みのもとで協議をする用意があることを確認しているにすぎないところでございます。

 御指摘のサイドレターは法的拘束力がないということは先ほどからもお話が出ておりますが、我が国では、これまでも米国を初め各国との協議に誠実に対応してきておりまして、交換文書によって新たな義務を負うものではないわけでありますが、これにつきましては、改めて確認をするということでこのレターが成り立っているということでございます。

○阿部委員 アメリカ側が手紙を出して、そのことを受けとめただけなのですか。私が伺っているのは、このサイドレターを取り交わしたことで日本側にメリットはあるんですかということです。

 アメリカはもうずっと以前から日本の薬価、特に、アメリカはいろいろな薬剤メーカーが新薬を開発して、世界の市場の中でも上位を独占しておるわけです。日本もまた、皆保険制度があるゆえに非常に大きな市場になっております、アメリカにとっても。ですから、アメリカ側は、こういうサイドレターを出すことはそれなりの利と得があるんだと思います。

 我が国は、はい、それをいただきました、同じ思いですというからには、我が国にとってはどんな目算、メリット、戦略があるんでしょう。お聞かせください。

○塩崎国務大臣 それは、先ほど申し上げたとおり、附属書に伴ってサイドレターが交わされたということで、附属書に記されております手続をお互いに確認をしたということが一番の意味だと思いますし、それに加えて、先ほど申し上げたように、例えば、医療機器産業についてはお互いにやはり重要な産業であるということも確認をし、さらには、協議をするに当たっては、必ずこの附属書にあることをしっかりと踏まえた上でやらなければいけないという手続上の確認をしているということにおいて意味があるというふうに考えるべきではないかと考えております。

○阿部委員 私は、塩崎大臣らしくないと思うんですね。やはり、手紙を交換するということは、本当に、そこにおいてこれから日本がどのようなものにおいて有利な交渉を進めるのかとか、言われてもやらないよというだけではない、もう一歩踏み込んで、そうでなければメリットが見えてきません。

 そして、従来の流れは、何度も指摘しますように、薬価については日米間のいろいろな場でアメリカ側が要求する場面ばかりでありましたから、ここでこういう手紙が交わされるということの意味が大変国民的にも懸念と心配になる。特に、国民医療保険制度、健康保険制度と特記してあるわけですから、その言及が気になるわけです。

 大臣もおっしゃったように、薬価は日本においては公定価格ですけれども、アメリカにおいて薬価の公定価格はメディケアとかメディケードとか限られたシェアであり、ほかはほとんど自由価格でやっているわけです。そうなると、この手紙の持つ意味は、やはりアメリカ側の一方的な、日本の薬価の調整制度に対する見解というふうになってまいりますので、これでは余りにも片務である。

 私は、先ほどの核廃絶の問題でもそうですが、日本の戦略にとって、アメリカも核兵器禁止条約反対でありましたが、逆に、それと一緒にやっていって本当に日本の戦略性が出てくるのかどうかということをこのTPPにおいても非常に懸念するものであります。

 次に、具体的に伺っていきます。

 これもこの委員会で何人かがお取り上げでしたが、今、小野薬品のオプジーボという高額な価格のお薬のことについて、普通、薬価は二年置きの改定で、大変にそのお薬が売れて価格を下げなければならないときの仕組みというのは、二年置きの決められた期であるわけです、価格の調整と申しますか。今回、その途上、二年ではない間で、この薬が大変効用があって繁用されるようになったので価格を引き下げようというのが今、中医協で論議をされているわけですが、期中改定、決められた期ではない改定というのは、大変にいろいろな意味で、その手続がどうか、内容がどうか、透明性、公開性が求められるものだと思います。このことは、実は、大臣、どのようにして担保されるんでしょう。

 期ではない期中改定、特例改定と言ってもいいと思います。そのほかの価格の再調整の仕組みは、それなりに中医協で論議され、そしてルール化されておりますが、今回のものはそうではありません。日本の製薬会社もそうですが、海外の製薬会社も同じような事態に直面すると、これは予測のことではない、どこでどうやって決めたのだとなってまいりますが、まず確認は、期の定められた改定ではない特例改定である、特例改定におけるルールはいまだないという中で、このことをどうやって透明性、公開性を担保なさいますか。

○塩崎国務大臣 まず、オプジーボにつきましては、もう言うまでもなく、世界で初めて我が国で承認をされたという、我々としては望ましいし、また大変効果のあるイノベーティブな薬品ということであります。だからこそ、今回、適応拡大によって大きな市場の拡大があって、当初のメラノーマを前提とした価格でいったことについての問題が今いろいろと表面化をしている、こういうことだと思います。

 こういうことで、私どもとしては、国民負担の軽減の観点、そしてまた医療保険財政に与える影響を考慮して、二年に一度の薬価改定の年ではございませんけれども、緊急的に薬価を引き下げるとともに、より効果的な使用を徹底するということを今、中医協で検討していただいているわけでございます。

 薬価につきましては、健康保険法に基づいて厚生労働大臣が定めるということになっておりまして、薬価改定の頻度は法律上に特に定めがあるわけではございません。近年は、おおむね二年に一回行われてきたということでございます。

 今回、御指摘のオプジーボについて緊急的に薬価を引き下げるということの検討を今、申し上げたようにしているわけでありますけれども、これはさっきも申し上げたとおり、国民負担軽減の観点、あるいは医療保険財政が持続性を保てるかどうかということを考慮した上で、国民皆保険を守るという公共の福祉に係る正当な目的のための措置であって、TPPでもそれはちゃんと留保されているわけであります。

 現行の薬価算定のルールも踏まえて、必要かつ合理的な範囲での薬価の引き下げを行うべきということで検討をしているわけでありまして、さらに今、中医協において、内外の製薬業界団体からオープンな形で意見をしっかりと聞いて、その上で検討をし、公正な手続のもとで議論をしていくということでありますので、企業との間のトラブルの話を今お取り上げをいただきましたが、そういうことにはならないというふうに思っているところでございます。

○阿部委員 厚生労働省あるいは大臣が必要かつ合理的と思っても、相手の製薬会社、これは国内の製薬会社もあるでしょうが、海外の製薬会社の場合も当然生じてまいります。

 今いみじくも大臣がおっしゃった、薬価改定のある意味でのルールはないというふうにおっしゃったのはちょっと違っておって、期で、二年ごとの改定というのは一応お互い合意されたものなんですね。ところが、この期中改定、間で勝手に変えたら困るよというのは、各製薬会社から、これは日米欧の製薬業界が九月十四日に中医協の薬価専門部会で意見を出しておられます、期中改定には反対だと。

 大臣がこれは透明性と公益性を担保していると言っても、相手は反対だと言っているわけです。ここに訴訟の余地が残り、そして、これが海外の製薬会社であった場合はISDSなどに関係してくるのではないか。このことを何人かの委員が指摘されて、そのことについて大臣の御答弁はいつも、これは必要かつ合理的だというふうに繰り返されるばかりで、既に製薬会社の側がこれは反対だと言っているのですから、大臣が幾らそう言っても、そごがあるに決まっているじゃないですか。

 そのことをどう受けとめて対処していかれるのですか。そういう危険性はないと言い切れないと思います。だから皆さん御指摘なんだと思いますが、いかがですか。

○塩崎国務大臣 仮にTPPが発効した際でも、附属書の2において社会保険、社会福祉、保健等の社会事業サービスを記載してありまして、これらの分野は協定の適用除外ということであり、また、医療などの社会保障分野は将来留保ということで、将来留保の解釈を変更するというのは全ての締約国の合意が必要だということは、TPPの世界で申し上げればそういうことになっているわけでございます。

 今、阿部先生御指摘のように、確かに製薬団体、これは日本も、それから米国も、そして欧州も、それぞれ意見陳述をしていただきましたけれども、それぞれ慎重論、反対をされておりまして、二年に一回の薬価改定頻度を前提に経営を行っているので期中改定の議論にくみすることはできないと。いずれの団体からも、二年に一度の薬価改定の年以外の薬価の引き下げに関して反対意見が出されていることは、私たちもよく承知をしているわけでございます。

 ただ、薬価についての健康保険法の定めは、先ほど申し上げたとおり、特に改定の頻度につきましては法律上に定めはないわけで、近年はおおむね二年に一回実施をしている、そういう形になっているわけでありまして、私どもが申し上げている国民負担の軽減の観点、あるいは医療保険財政への影響、国民皆保険制度を守るという公共の福祉に照らして正当な目的のためにデュープロセスを経て引き下げを検討しているという段階でございますので、私どもはそういった訴訟については想定をしておらないわけであります。

 ISDS条項についてお取り上げをいただきましたが、これもTPP協定において、投資受け入れ国が公共の福祉に係る正当な目的のために必要かつ合理的な措置を講ずることは妨げられないというのは先ほど申し上げたとおりで、投資章の複数の規定で確認をされております。

 そういう意味で、先ほど申し上げた附属書の2において社会事業サービスを留保している中に薬価制度も含まれるというふうに思いますので、国民皆保険を守るという公共の目的、正当な目的、必要かつ合理的な措置、そして中医協において外国の製薬業界を含めて関係の皆さん方の御意見をしっかり聞くというデュープロセスを踏んだ上で決定をするということであれば、ISDS条項によって海外から訴えられることは想定されないというふうに理解をしているところでございます。

○阿部委員 一言申し上げれば、そういう想定が甘いのではないかと皆さんが指摘をされているわけです。

 大臣も明確に御答弁のように、日米欧の各製薬会社はみんな反対をしているわけです。二年なら二年で自分たちの商品を販売するための計画を立ててやっているのに、その途中ではしごを外されたらやれないじゃないの、簡単に言えばそういうことを言っていて、それは、大臣が幾ら日本の公益性で担保されているとおっしゃっても、もう既にここに現実に違いがあるわけですから、そこを認識されないでこの交渉に踏み込んでいくというのは私は極めて甘い予想だと思います。

 もう一つ同じような問題がありますので、次に進めさせていただきます。

 皆さんのお手元に、資料として、きょう、ヘルスケアREITに関するガイドラインというものを配らせていただいておりますが、このヘルスケアREITとは何か、ほとんど、この場で取り上げるのも初めてですし、皆様には知られていないことだと思いますので、きょうは国土交通省の方の政務官にお越しをいただいて、そもそもREITとは何か、それからヘルスケアREITとは何かということについてお願いいたします。

○根本大臣政務官 REITとは、一般的には、公募等により広く民間資金を集めて不動産を取得、運用し、その賃料収益等を、出資した投資家に分配する仕組みをいいます。

 そしてまた、ヘルスケアREITのお話がありましたが、これは、高齢者向け住宅とか病院などを対象物件としたREITのことをヘルスケアREITというふうに申しております。

○阿部委員 私がこのヘルスケアREITを取り上げますのは、先ほどまで取り上げておりました国民皆保険制度並びに薬価の問題もそうですが、一方で、市場の原理と申しますか、市場の利潤ということを上げようという動きは全世界的に強いわけです。

 医療分野とてその例外ではないし、今お話しのヘルスケアREITというのは、例えば投資会社が土地を取得して建物を建てて、その上物を病院の経営者に貸すというような仕組みであります。この土地代あるいは建物代、ここを大変に高価格に設定しますと、上物を運営する病院あるいは介護関係の施設は利潤を出さなければいけない構造に追い込まれます。

 他の不動産投資と違って、ヘルスケア、特に病院、医療については、大臣が繰り返し御答弁のように公益性を持っており、守るべきものは守らなきゃいけない分野で、果たしてこうやって、今アメリカが一番ヘルスケアREITの数も多いし市場規模も大きい、世界の九〇%くらいはアメリカの会社というか、そういう投資のための仕組みでありますが、今後日本にこの波が及ぶことは十分に考えられ、日本でも既にヘルスケアREITは始まっております。

 このヘルスケアREIT、かといって、全てを普通の建物を貸す、そういう市場原理で賄っては医療がゆがむ、介護がゆがむということでガイドラインというのがつくられているのが、皆さんのお手元の国交省がつくられたガイドラインであります。

 医療分野と介護分野、一応二つに分けてございますが、このおのおのについて、国交省の方から御説明いただけますか。

○根本大臣政務官 病院や老人ホームなどのヘルスケア施設を運用する際には、これらの施設が医療法や老人福祉法などの関係法令に従って適切に運営され、これらの施設の利用者に不安を与えないようにすることが必要です。

 このため、これらの施設を所有することとなるヘルスケアREITについてガイドラインを設けて、REITの運営を行う資産運用会社が、一つは、ヘルスケア施設に関する知識を十分に有している者が取引に関与する体制を整備すること、二つが、REITとヘルスケア施設の運用事業者との賃貸借契約などが関係法令の規定に従っているかどうかを確認することなどを求めております。

 このガイドラインは、宅地建物取引業法に定める、REITの運営を行う資産運用会社に対して国土交通大臣の認可を受けるための運用基準を示すもので、外国の事業者が我が国においてREITの運用をする場合にも同様に適用されるものであります。

○阿部委員 今御説明いただきましたが、宅建業法というのがございまして、国土交通省が所管する法律ですが、五十条の二の三というところにもともとの宅建業法における規定があって、「その行おうとする取引一任代理等を公正かつ的確に遂行することができる知識及び経験を有しないこと。」ということで、こういう人には認可をしてはならないと。すなわち、宅建業法で認可方式でREITが認められていくのですが、私が今読み上げましたように、その条件とは「公正かつ的確に遂行することができる」というファジーな言葉で決まっていて、そこをガイドラインが示しております。

 ところが、ガイドラインというのはあくまでもガイドラインで、このことが、例えば、利潤をさらに上げたいとする投資会社が参入をする場合に、いやいや、あなたのところはそういう考え方ではできませんよというような、あるいは、地域の医療が、ベッド数も過剰ですので、ここでできませんよなどという規制を本当にかけられるのかどうかであります。

 塩崎厚生労働大臣に伺います。

 今現実に医療業界ではこういうREITがふえております。このことが十分に、厚生労働省の管轄下でもないし、医療上の中身についても経営によって圧迫されるのではないかと強く懸念しておりますが、塩崎大臣の現状における認識、そして、これから海外の投資会社が入ってくることもある、そして、これは余りにひどい規制じゃないかとISDSにかかることもあるなどの可能性を私は考えますが、いかがですか、大臣。

○塩崎国務大臣 医療と介護、大きく分けて二つの種類があると思いますが、特に医療につきましては、当然、非営利性というものが大事であります。

 医療機関がREITを活用する場合には非営利性が担保されなければいけないということで、先ほどもガイドラインのお話の中で、不動産投資法人の関係者が医療機関の経営に関与していないこととか、あるいは、賃貸借料について、医療機関の収入の一定割合としないこと、また、近隣の土地建物等の賃借料と比較して著しく高額ではないこと、こういったことにしっかり留意して、実質的な利益の分配が行われないような対応を求めているわけであります。

 冒頭先生からもお話がありましたとおり、こういったREIT、今、医療ではまだ実例が出ていないと聞いておりますが、介護ではぼちぼち例が出始めてきているということでありますが、大事なことは、やはり介護そのもの、医療そのものがゆがめられてはならないということが大事な論点であることは御指摘のとおりでありますので、今のようなガイドラインがあり、そのポイントは今申し上げたとおりでございます。

 REITそのものについては私どもの所管ではございませんが、医療と介護にゆがみがない形で資金調達が進み、施設の整備が進むこと自体は、むしろ進んでいただければ受け皿をふやすということで、介護離職ゼロということも申し上げている限りはそういったことだと思いますが、原則は、先生御指摘のとおり、ゆがみが医療や介護に及ばないということが一番大事だというふうに思います。

○阿部委員 私は、非常に塩崎大臣の認識が甘いと思うんですね。介護離職ゼロといったって、介護職員が疲弊し果てていて、今は、いかに介護職員を担保するかが結果的に介護離職ゼロに結びつくわけです。その介護の運営というところにおいて非常にもうけを出そうとすれば、人件費を削るしかないわけです。

 こういうREITが、政策ファンドというか、そういうものであればまだしも、そうじゃなくて、市場の原理のファンドが入ってくるわけです。そして、そういうこともこのTPPに伴って目前になっております。

 私は、委員長にお願いがございます。

 このTPPの審議の中で、冒頭取り上げました薬の価格もそうですし、医療提供体制に及ぼす影響についても、残念ながら、ほとんど審議が深まっておらない。だけれども、国民にとって大変命に直結する問題であります。今、日本の医療提供体制というのは大変に深刻な状況にあって、介護もそうであります。

 ぜひ、この及ぼす影響を、TPP委員会で参考人をお呼びいただく、ないし集中審議をしていただきたくお願い申し上げますが、いかがでしょうか。

○塩谷委員長 理事会で協議して、対応していきたいと思います。

○阿部委員 まだまだ審議は、私は半分も行っていないと思います、一〇%でしょうか。よろしくお願いしたいと思います。

2016/12/06 国会質疑   abetomoko