国会よりBlog

3月17日環境委員会(参考人質疑)議事録

○阿部委員 本日は、原子力規制のあり方について、おのおの深くそのことにかかわった人生をお過ごしの皆様の貴重な御発言をいただきまして、私は本来この委員会の所属ではございませんのですが、この機会を得て、きょうはラッキー、よかったなと思いました。そして、そういう観点から御質問をさせていただきます。
 三・一一、二〇一一年のあの原発事故の後、原子力と私どもはどう向き合っていくのかというのは、大きな国民的関心事でもございます。その関心事の中心はやはり安全性ということにあって、まず関村参考人に伺いますが、恐らく最も長く原子力規制のあり方にかかわってこられて、三・一一事故が起きた原因は、多様な、いろいろな組み合わせというか、複合的、あると思いますが、規制上、何が最も問題で三・一一に至ってしまったのか。多様ですけれども、一つと言われたら、一番肝の部分は何か、お答えをいただきたいと思います。

○関村参考人 ありがとうございます。
 一つということでは済まされないというのがまず第一、一つ目の重要な点になってしまうわけですが、規制という立場でということでございますので、やはり規制だけで安全性が向上するわけではなく、事業者がどのように物を見ているかということについてきちんと入り込んでいかなくちゃいけない、これは、検査制度という観点できょうはお話をしておりますので、そのような観点で申し上げさせていただかなくちゃいけないというふうに思います。
 もし安全性を向上するということが共通認識になっていかないのであれば、これは厳しく、どうしてあなたたちは安全性向上をできないのかということを指摘し、国民にもしっかりと提示をしていくという役割が規制側にあり、かつ、安全性を向上していくという意図があるのであれば、あなたたちはどうしてそういうことが気づかなかったのか、気づいたところはどうやって具体化しようかという問いかけ、それに対してちゃんと答えを出していくプロセス、このような、コミュニケーションという言葉で言うと非常に陳腐に聞こえるわけですが、このようなインタラクションをきちんと持っていくことによって安全性が向上するんだという考え方が決定的に不足をしていたという観点が極めて重要な一つのお答えになろうかなというふうに思っております。

○阿部委員 ありがとうございます。
 一九五五年に原子力基本法が制定されて、自主、民主、公開でしたけれども、おっしゃったように、コミュニケーションの前提には公開、情報が公開されてコミュニケートしていくということがあると思いますので、その点でいろいろな隠蔽体質と呼ばれるようなものも大きく影響していたのかなと思います。
 引き続いて、伴参考人にお伺いいたします。
 伴参考人が今所属、代表を務めておられる原子力資料情報室は、高木仁三郎先生が、市民とのコミュニケーションというか、国民と原子力ということをずっと考えて、そのための資料情報を提供しながらあり方を考えていこうという長い歴史のあるものであると思います。お取り組みにも敬意を表します。
 その上で、伴参考人から見て、先ほど関村先生はコミュニケーションの問題が大きかったとおっしゃいました。一番、一つ挙げるとすると、三・一一が起こった原因、何と思われますでしょう。

○伴参考人 規制との関係でいいますと、私は、規制委員会、以前は原子力安全・保安院になりますが、それがきちっと独立した活動をできていなかった、ちょうど国会事故調査委員会の報告書にもありますように、事業者の言いなり、規制のとりこになっていたということが規制の関係では一番大きな原因であろうかというふうに思います。
 その反省を踏まえて今の原子力規制委員会ができたわけですが、今般の改正案、定期検査の改正案は、むしろその流れに少し逆行しているのではないかというふうに受けとめています。
 というのは、やはり独立した規制としてそれをきちっと強めていかないといけない中にあって、事業者の善意あるいは自主性に任せてしまうというのはよろしくないというふうに受けとめていて、違うシステムをつくるべきだというふうに考えています。

○阿部委員 引き続いて、小倉参考人に伺います。
 先ほど、長年原子炉の技術分野にかかわられて、設計自身が、ベントをつくらなくちゃいけなかったり、あるいは水素を逃すような、圧を下げるようなものを付加しなければいけないということの構造的問題がそもそもあったということの御指摘はありましたが、それを踏まえた上で、さて、三・一一について、お立場から、最も原因と考えられることは何であるとお思いでしょう。

○小倉参考人 お答えします。
 先ほど私、冒頭にお話ししましたけれども、二〇〇七年の中越沖地震で、要するに、基準地震動を超える地震が起きる可能性があって、その大きな地震が、どのぐらいの大きさでどのぐらいの確率で起きるかがわからない、そういうことをお話ししました。そういう、非常に危険がある程度見えていたわけですね。
 それと、二〇〇六年に耐震設計新指針を安全委員会が策定し、それを保安院が各電力会社の社長さん宛てに送った手紙に、万一基準地震動を超える地震が来て大量の放射能が環境に漏れたときのその影響を定量的に検討し、速やかに報告しなさい、こういう文章が入っているわけです。ところが、その保安院の問いかけに対して、ちゃんと回答した電力会社はないんですよ。
 例えば、当の柏崎刈羽原発で、三・一一と同じような、三月という、季節風が北から吹いているときに同じような事故が起きたら、関東平野はもう全滅ですね。あの福島の経験を見ればわかりますね。ところが、その恐ろしさ、怖さ、そういうものを理解する想像力、これが私は電力会社の経営者に足りなかったんだと思うんですね。それだけのデータあるいは情報があれば、想像力を働かせれば、このままで運転したらどういうことが起きるか、それがどれほど恐ろしいかということは理解できたはずなんです。
 もしそれがあれば、わずか二年後にあれが起きたんですから、三年ぐらい安全かどうかを確認する、つまり、原発の運転をちょっと待って、三年ぐらい待って、そしてそれが確認できてから再稼働すればよかったんですよ。そこに私は原因があったと思います。

○阿部委員 御指摘ありがとうございます。
 ちょうど二ツ川参考人にお伺いしようと思っていたことなのですが、実は、三・一一の福島事故の後、私の後輩に当たる、東大のアイソトープ研究所の所長の児玉龍彦さんが、私も三月の下旬に福島に参りましたら、もう既に拡散してしまった放射能をどうやって人々の生活から取り去るか、特に子供さんの保育園とかそういうところで、既に一生懸命活動をしておられました。
 私も医者ですが、ここほどの、こんなに飛散する放射能の状態、特に霧のようになって飛んでいくというのはなかなか経験がなく、それまでアイソトープ管理というのは、厳重に閉じ込めて、逆に言うと隔離していくということを旨としてきたことから見ると、真っ逆さまの事態が起きてしまったと思うのです。
 先生の直接の御専門、医療分野で特に重要であったり、さまざまに今アイソトープは生かされますけれども、と同時に、これが事故により拡散する場合の問題も多々あると思いますが、先生は、この三・一一事故について、先生御自身のかかわりという意味ではなくて、どのような要因が問題であったと思っておられますでしょうか。

○二ツ川参考人 私が直接的に原子炉等の設備に関係していないので、その原因等はわかりかねるんですが、やはりおっしゃられたとおり、放射線というのは、本来、私どもは、規制された管理区域の中で放射性物質を通常取り扱っております。ですから、このように大量に飛散されたものについて、それをどう取り扱っていいかということは、通常我々は、施設の中で廃棄物が飛散した場合には除染という形をやるわけですけれども、それはごく限定されたものでやっておりますので、今回のようなものに対してどのように除染に取り組めば本当に原状回復ができるかというところには、ちょっと知見を有してはおりません。
 ただ、やはり我々としては、放射性物質を有効に利用するには、きちんとした、限定された中で安全に取り扱う、それが基本であろうというふうには思ってございます。

○阿部委員 では、引き続いて、主に関村参考人と伴参考人にお伺いをしたいと思いますが、お二方とも、事業者による規制と原子力委員会の規制がどうあるべきかというところで、それぞれのお考えがおありであると思います。
 関村参考人には、私は、今回、事業者が第一義的に定期検査を行うということは、それは必要ではあるのですが、と同時に、ある意味では、並行して規制委員会による検査がないと、やはり、小倉参考人もおっしゃいましたが、いろいろな複雑な重要系統も含めて、むしろ規制緩和になってしまうのではないか。
 NRCなどの陣容と比べますと、正直言って私は、今の原子力規制委員会が、人数もそうですし、スキルもそうですし、もっともっと直接検査にもかかわって、みずからも高めながら規制水準を上げていくべきで、今回の改正はそれにはちょっと後退してしまうように私は懸念しますが、いかがでしょうか。

○関村参考人 ありがとうございます。
 現状で、米国の規制委員会で四千人ぐらいの人員を有していらっしゃる。それに対しまして、現在の規制庁が、従前のJNESという組織をマージしましたので、千人という規模になっているということを考えますと、まだ十分な人材が確保できていないのではないかという御指摘はそのとおりであるというふうに考えております。
 しかしながら、それをカバーするような仕組みというのをこれからつくっていかなくちゃいけない。それが不十分であれば、原子力を進めるということに関して懸念が生じるのは当然のことであろうというふうに考えているところでございます。
 しかしながら、米国の、例えばROPというような検査にかかわる制度も、スリーマイル島の事故を経ていろいろな取り組みをした結果として、二十年間程度の取り組みが着実に実ってきた結果としてあのような仕組みができ上がってきたというふうに考えております。
 しかし、日本は、二十年間ということを待てばいいというわけではなくて、米国の例、それからIAEA等の基準をうまく取り込むことによって、人材の運用、これはベースとしては技術者等のベースがしっかりあるわけですし、我々も教育機関としての役割を果たしていかなくてはいけないというふうに考えていますので、現状を踏まえながら、そこをどうやって継続的に改善していくかという努力を傾けていく。そのために、いろいろな方々と議論をする場が必要であり、そのきっかけとなるような制度的なフレームワーク、これについては、今回の原子炉等規制法の改正がきっかけになるのではないかな、そのように考えております。

○阿部委員 私は、三・一一の直後、五月に、塩崎現在の厚生労働大臣と二人でアメリカのNRCに行かせていただいて、サイトごとに人を配置して、非常に精度高く、正直言って口もきかないほどの、独立性を持って検査しておられるというのを見てまいりました。
 それからすると、人材的にも、今の原子力規制委員会は、本当に、再稼働の審査のために残業も多くしておられて、もうきちきちの中で、果たして、今ここで事業者の監督、監視というふうに上げてしまってスキルも成り立つだろうかと、直截に私は不安であります。
 先ほど伴参考人のおっしゃったのは、そういうスキル、技術上の問題もあるけれども、勧告九に従っていけば、IRRSのもともとの要請が、この規制委員会の方にも独自に、事業者とは独自な管理監督をすべきだという観点からという御指摘がありました。
 もう一度、ここは本当に日本の規制行政の大事なところと思いますので、伴参考人に御意見を求めます。お願いいたします。

○伴参考人 アメリカの規制が、長い期間をかけて今日のようになってきて、それを日本は参考にするというふうなことのようなのですが、アメリカの規制が今日になってきたその背景としては、例えば、事故が起きたときに事業者に課せられるペナルティー、罰金といいますか、それが非常に高額な金額が、事故の程度にもよりますけれども、課せられているとか、あるいは事前通告なしの検査ということも可能になっているとか、そういう仕組みの中で今日の状態があるというふうに思います。
 日本がまねをしようとしているのは、何となくいいところだけをとってきて、厳しい部分について言うと、まだ導入していないというふうな、あるいは導入の計画がないというふうな状態ではないかというふうに受けとめています。
 そういう意味から、非常に厳しいシステムとして、罰金なら罰金はもっと厳しくするとか、あるいは事前通告なしの検査制度を導入するとか、そういったことが片方ではどうしても必要ではないかというふうに考える次第です。

○阿部委員 私も、今回の改正で、事前通告なしの検査の立ち入りの権限の付与というのは法定化されるべきだと思います。やはり、そこに向かう人たちを保護するためにも、例えば内部告発のような形で言わなくちゃならないような立場にも置かれかねませんし、検査上、これは担保された、あなたたちに付与された権能であるということを、私ども国会が意思として決めていくべきではないかと思います。
 きょうの参考人の御発言を生かさせていただきまして、またよりよい原子力規制の取り組みをいたしたいと思います。
 ありがとうございました。

2017/04/06 国会質疑   abetomoko