国会よりBlog

5月10日外務委員会議事録

○三ッ矢委員長 次に、阿部知子君。

 

○阿部委員 民進党の阿部知子です。

本日は、外務委員会各理事並びに委員長の御配慮によって質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

私は、先ほどの大変細かな、そして綿密な御質問と少し角度を変えまして、そもそも、今回の日印原子力協定が、我が国が長年歩んできた核軍縮並びに不拡散という基本的な枠組みから見てどうであるのかという点で質疑をさせていただきます。

冒頭、岸田外務大臣にお伺いいたしますが、先ほど公明党の岡本委員もお取り上げでございましたが、けさ方、韓国で新たな文在寅大統領が誕生をされました。いろいろな難題、慰安婦問題等々もございますが、大臣としてこの新たな文在寅大統領の登場に最も期待すべきこと、また、どのように大臣自身が今後の日韓関係を考えておられるかについてお伺いをいたします。

 

○岸田国務大臣 まず、文在寅大統領が選挙によって選ばれたことについては、外務大臣としても祝意のメッセージは発出させていただいています。

どういったところに期待するのかという御質問でありますが、これにつきましては、文在寅大統領は選挙期間中からさまざまな発言をされていますが、政府としてどういった政策をとられるかということにつきましては、今後、首相あるいは閣僚等が確定した後に具体的なものが出てくると思いますので、今の段階で、こういったものを期待するとか、具体的なことを申し上げるのは、我が国の立場から、これは控えなければならないと考えています。

ただ、いずれにしましても、韓国は戦略的利益を共有する大切な隣国であります。北朝鮮問題等を見ても、韓国と日本が連携協力するということは地域の平和と安定にとっても大変重要なことであると認識をしております。

この新政権ともしっかり連携協力をしていかなければならない、これは当然のことであると思っておりますし、ぜひ、新政権とも未来志向で両国関係を前進できるようにしっかり我が国としても努力をしていきたい、このように考えます。

 

○阿部委員 もちろん、内閣全体としてのさまざまな分野における日韓の協力等については、まだ論議のこれから始まるところとは了解をいたしております。

私があえて岸田外務大臣にお伺いをいたしましたのは、きょうのお手元の資料の多分四ページ目に当たると思いますが、ここに世界終末時計というものがお示しをしてございます。

これは、そもそも何を意味しておるかというと、第二次世界大戦、日本への原爆投下で日本が敗北を認めて終結していくわけですが、その直後にアメリカの科学誌に、日本の核戦争の悲惨も含めて世界が終末に近づかないように、核兵器の使用も含めて人類への大きな罪であるということで終末時計という考え方を発表いたしまして、これが一番時間的に短くなったのは、米ソが水爆実験を繰り返しました一九五三年から一九六〇年くらいはもうあと二分、終末まで二分と言われました。

昨今、トランプ大統領が登場して、シリアの攻撃をなさったときに、この終末時計、実は、長いときは十七分まで、核軍縮が進んで、世界の流れが少しずつ前向きになっていったときは十七分まで延長したのですが、これがまた二分半に引き戻されている。

国民の多くも、一触即発で、特に、核兵器の使用等々、絶対あってはならないことに向かいかねない危機を、私は今国民は抱いていると思うんです。

この間のトランプ大統領の行動は、一面においては、シリア攻撃等々もあって、私どもも不安を覚えておりますが、例えば、先ほどお取り上げの北朝鮮との直接対話も、これは、主には弾道ミサイルとか核兵器の廃絶ということを一義的に考えた上での交渉事をノルウェーでも近々行うような報道もございます、実際はどうなるかわかりませんけれども。

そうなりますと、私は、今、日本の外交、安全保障上、今度新たに文在寅大統領が誕生して、この東アジアにおける六カ国協議等々、これは、もともと北朝鮮の核武装について、これを行わせないための枠組みをつくってきた、それがある意味破綻して、二〇〇六年以降北朝鮮が核開発を進めているという中で、もう一度、韓国に新たに誕生した大統領のもと、また、ロシアのプーチン大統領も、せんだって安倍総理との会談で六カ国協議のことに言及をされておられますし、日本がリーダーシップをとって、ぜひ、東アジアの核をめぐる安全保障環境を韓国とともに話し合っていただきたい。私は、それは、恐らく岸田大臣だからできると信頼をしております。それは、大臣が広島の御出身であり、ずっと核軍縮についてもお取り組みであったからです。

今私が申し上げました、大臣は何を望んでおられますかというのは私の読み込み過ぎかもしれませんが、しかし、国民の願いでもあると思いますので、具体的には六カ国協議等々、とにかく、北朝鮮の核武装をとめていく、なくしていく、東アジアの安全保障環境を高めるということについての大臣のお考えを伺います。

 

○岸田国務大臣 御指摘の六カ国協議を振り返りましても、かつて発出されました六カ国協議の共同声明においても、共通の目的として、平和的な手法によって検証可能な朝鮮半島の非核化というものが掲げられていると承知をしております。

これは、北朝鮮は現状、別格なのだと思っておりますが、それ以外の、六カ国協議に参加している、北朝鮮に大きな影響力を持っている国々は、この共通の目標を今でも共有していると考えています。平和的な手法によって、検証可能な形で朝鮮半島の非核化を実現する、こうした目標に向けて引き続き努力をしていかなければならないと我が国も考えています。そして、韓国もその六カ国協議の一員でありますので、日本と韓国、こうした目標を共有しているということであります。

こうした地域の平和と安定のために、こうした目標を共有しながら日本と韓国が努力を続けていく、これは当然重要なことであると思いますし、日本もしっかり貢献をしていきたいと思いますし、韓国にもぜひこの努力をお願いしなければならない、このように考えます。

 

○阿部委員 ぜひ強力なリーダーシップをお願いしたいと思います。

あわせて、けさのニュースで、大変我が国にとっては喜ばしい、国際社会の、特に軍縮に関する人事の発表があったと思います。質問通告していなくてごめんなさい。私もけさ知りましたが、国連の軍縮担当上級代表に日本の女性が任命をされました。中満泉さんとおっしゃいまして、緒方貞子さんのもとで国連の仕事をされてきた。特に軍縮関係に強い興味をお持ちで、今度は軍縮担当上級代表という極めて重要な役職につかれております。

私は、この意味というのは、二重の意味で日本にとって国際社会に働きかけることができると思っております。

実は、これは大臣ともやりとりしたことがございますが、昨年暮れの核兵器禁止条約には、我が国は十二月の交渉には参加はいたしませんでした。また、反対の意も表明しておりますが、この国連の軍縮担当上級代表、当時キム・ウォンスさんでしたが、そこに行かれて発言をされたりと、今度は中満さんがそうした役割を担うことになる。すなわち、政府と密に連携しながら、やはり本当の意味で核兵器廃絶、核軍縮そして核拡散防止、このいずれもやっていかなきゃいけないということになると思うのですが、岸田大臣に、今回のこの人事の発表について、これも印象で結構です、お考えと、また決意のほどを伺いたいと思います。

 

○岸田国務大臣 御指摘の中満軍縮担当上級代表ですが、私も国連の場でさまざまな形でお会いし、お話をしてきました。大変優秀な方でいらっしゃいますし、こうした国際的な軍縮の議論において大変重要なポストに日本から選出される、選ばれるということ、これは日本にとっても大変歓迎すべきことであると思っています。

そして、ぜひ日本としても、今の国際状況を見るに当たっても、中満さんとしっかりと協力をしながら国際世論をリードしていかなければならない、これを強く感じています。

この間、二〇二〇年のNPT運用検討会議の準備委員会がスタートしました。御案内のとおり、二〇一五年の会議、成果文書もまとめることができない、核兵器国と非核兵器国の深刻な対立を改めて感じたわけでありますし、一方で、北朝鮮の昨今の挑発行動は、まさに国際的な核軍縮・不拡散体制に対する挑戦であると受けとめています。こうした厳しい状況にあるからこそ、我が国は唯一の戦争被爆国として、中満さんとも協力をしながら議論をリードしていきたいと強く感じております。

 

○阿部委員 繰り返しますが、非常に、今、日本の行動というのは重要な時期に来ておると思うのです。そういう中で、今回の日印原子力協定がどのように評価されるかということについての本題に入っていきたいと思います。

今の岸田大臣の御答弁にもありましたが、我が国は、核軍縮、核不拡散において、NPT体制の堅持と、その中で、核兵器保有国と非保有国、二つを分けて、そしてこの橋渡しをしようということで努力をしてこられた。非核兵器国と核兵器国。

さて、大臣、インドは核兵器国か非核兵器国か。これまでの我が国の定義にはないと思うのですが、いかがでしょう。

 

○岸田国務大臣 NPT上、核兵器国は五カ国に限定されています。そもそもインドはNPTに加入しておりませんので、インドはNPT上の核兵器国ではないということになります。

インドは、現実において、核ドクトリンというものを明らかにしていますが、その中で、信頼し得る最小限の抑止力の開発と維持、こうした政策を掲げている国であります。

 

○阿部委員 米印原子力協定が結ばれたときの、当時ライス国務長官、その方も、当然ながらインドは核兵器国ではないというふうに言っておられて、そのとき同時に、NPT体制について、これを見直すものでもないし、インドの加入も行われないということを述べておられます。

すなわち、ここが一番問題で、NPT体制というものが、そういうふうによくわけのわからないというか、もどきのようなものをつくってしまうと、次々とそれが行われかねない。非核兵器国というふうなものでもないですよね、大臣。だって核兵器を持っていますものね。

そして、次の質問ですが、実は、日本は非核兵器国として、オーストラリアなどとともにリーダーシップをとって、核保有国に対して軍縮・不拡散イニシアチブ、NPDIを提案して、核弾頭の数とか運搬手段とか核物質のフォローとか、そういうものを透明化、明示化、見える化しなさいということを提案しておるわけです、核兵器保有国に対しては。

インドは核兵器保有国ではないけれども、核兵器を持っているわけですね。このインドに対して、NPDIで当然核兵器保有国に求められるくらいの透明性すら求められていないということは、大臣はどうお考えですか。

 

○岸田国務大臣 核軍縮・不拡散を考える中にあって、核兵器に対する透明性を向上させるということは、核軍縮を進める上での重要な基礎であると思っています。こうした取り組みを進める上において、核兵器国そして非核兵器国を問わず、信頼関係を醸成するということが重要でありますが、信頼の醸成という意味において透明性の向上は基礎であると考え、御指摘のように、NPDIにおいても、二〇一五年のNPT運用検討会議にさまざまな基本文書を提出しておりますし、二〇二〇年のNPT運用検討会議準備委員会にも既に六本基本文書を提出していますが、その中の一つに、透明性の向上を求める作業文書が含まれているわけです。

二〇一六年の国連総会における核兵器廃絶決議についても、全ての国連加盟国に対して透明性の原則を適用するように求めている、これが我が国の立場であります。

全ての国連加盟国、インドに対しても透明性を求めているわけですが、現実問題、インドは核弾頭数等に関して公表はしていないと承知をしております。引き続き、インドに対しても、こうした透明性の向上については、我が国の立場から、しっかり働きかけを続けなければならないと認識をしております。

 

○阿部委員 私が懸念いたしますのは、こういう日印原子力協定を結ぼうとするときにも、そうした透明性を逆に担保にして、透明性をきちんと条件にして結んでいくということがなければ、実は、核兵器国でもない、非核兵器国でもない、中間的なところにいるのが一番、逆に、世界の監視の目を逃れられるというふうな誤解を生みやすいと思います。

大臣は広島御出身なので御存じと思いますが、広島県発行で、公益財団法人日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センターというところが出しております資料によれば、例えば、二〇一〇年から二〇一五年までの間に、これは公にされているもの、いないものがありますので信頼度は少し確定はできないものもあろうかと思いますが、核弾頭数がふえている国は中国とインドとパキスタンであります。逆に、フランス、ロシア、アメリカ、イギリス、イスラエルは微減か同じくらい。

核弾頭数のふえたのは、繰り返させていただきますが、中国、インド、パキスタンで、この広島県のひろしまレポートというものによれば、二〇一〇年は、インドは八十、パキスタンは九十。二〇一五年、インド百十、パキスタン百二十。すなわち、両方とも核弾頭数をふやしてきているという現状が、アメリカが米印原子力協定を結んですらあるわけです。

私は、核不拡散ということはなぜ必要かというと、当然ながら核軍縮を行うために不拡散をさせるということで、こうやって実際にはインドもパキスタンも弾頭数をふやしていくということは、結局、NSG、原子力供給グループで決めたけれども、でも、それにのっとって結ばれたアメリカとインドの間の協定があってなお軍縮には向かっていないと言うべきだと思いますが、大臣の御所見を伺います。

 

○岸田国務大臣 まず、我が国は、NPTの普遍化、これを重視しており、さまざまな形で働きかけを続けています。インドにも、首脳会談を初めさまざまな機会を通じてNPTへの加入の重要性について働きかけを続けているわけでありますが、残念ながら、NPTにはインドは加入をしておりません。

その中にあって、インドが、原子力の平和利用を考える際にさまざまな取り組みを行っている。そして、原子力供給国グループ、NSGはNPTを前提とする枠組みですが、その中にあって、厳しい条件を突きつけた上で、例外的にインドの原子力の平和利用を認めたということを行ったわけです。

これは、あくまでも、こうしたNPTを前提とするNSGが厳しい条件のもとで例外を認めた、これが議論のスタートであり、それに対して、NPTを重視する我が国として、厳しい規定を設けて、公文を設けて、そして実質的な不拡散体制にインドをできるだけ引き込もうという努力を続けてきたわけです。

NPTをめぐるこうしたさまざまな取り組みを考えますときに、インドは残念ながら今現在NPTには入っていませんが、NPTがいかに原子力の平和利用を考える際にも重要であるということはこの取り組みの中で再三強調され、そしてインドもその重要性については理解をしていると考えます。こういった取り組みを通じまして、ぜひNPT体制の普遍化に向けて我が国は引き続き努力をしていきたい、このように考えます。

 

○阿部委員 引き続き努力することはもう当然で、せねばならないと思いますが、私が指摘させていただいたのは、米印原子力協定、日本とほぼ同じです。お手元に米印原子力協定の資料をつけてございます。NSGグループの中で、まずインドを例外扱いにすることができる旨の規定をつくり、そしてIAEAの一部査察を受け入れ、包括的査察ではございません、そしてここまでやってきたけれども、何度も申しますが、核弾頭数はふえている、核軍拡である。パキスタンとの関係も、つい最近も緊張した場面がございましたし、そうしたことの中で、この体制では本当に核軍縮にならない。アメリカにおいてすらなんです。

日本がこれから結ぼうとする、ほぼアメリカと同等のこの協定は、そういう意味では核軍縮をかなえることができないと私は思うわけです。

その大きな理由は、次のページに、これはインドがみずから申請して、この原子炉はIAEAの検証下に置きますよ、これは軍事用ですよと、二極に分けてございますけれども、この図を見れば見るほど、どこで分けられているんだろうか。ずるずるとは申しませんが、監視下にあるものと下の軍事用とのところは密にネットワークしてございまして、大臣のお手元になかったらごめんなさい、こういう状態で実際の査察を受けていると言われても、やはり、核弾頭数はどんどんふえてきているというのが現状だと思います。

大臣は、原子力委員長代理の阿部さんが、二〇一六年七月八日、「私の視点」というので出された投稿論文は御存じでしょうか。原子力委員会の委員長代理を今お務めでありますが、この委員長代理ですら、原子力委員会というのは日本の原子力政策を中心的にやってきたところでありますが、インドに対して、例えばCTBT加入、あるいはほかの核物質のいろいろな扱いの規制、プラス、やはり何らかの担保がなければ今回のことは認めるべきではないという御意見でしたが、意見交換されましたか。

 

○岸田国務大臣 意見交換をしたかということでありますが、そういった意見交換は私は行ってはおりません。

 

○阿部委員 大臣はすごく正直な方ですから、私は、ぜひ、これからでも遅くないです、インドとの原子力協力は軍事転用を確実に防げという文章で朝日新聞、総理は読売新聞を出しましたが、これは朝日新聞への投稿でしたので私は朝日新聞を使わせていただきますが、二〇一六年七月八日に投稿された非常に重要な言及だと思います。

まず、NPTの各種義務、先ほど申しましたNPDIが求めているような義務を履行させるとか、核軍縮の追求、核技術の不拡散、そしてIAEAの保障措置のさらに拡大したカバーなどを条件として、プラスFMCTとCTBTの署名、批准を求めるべきだという御意見であります。

大臣はぜひ、この原子力委員会の皆さんとも、日本の大事な政策の積み重ねですから、意見交換していただきたいが、いかがですか。

 

○岸田国務大臣 そうした方々と意見交換をすること、これは意義あることであると思います。そういった機会を持てるかどうか、ぜひ検討したいと思います。

 

○阿部委員 よろしくお願いいたしたいと思います。

本来は、この場でも、ぜひ原子力委員会にもお越しいただきたいですが、きょう私は準備が間に合いませんでしたので、大臣にお願いして、また別途、意見交換の結果を聞かせていただきたいと思います。

さて、インドへの原発輸出という問題は、実は福島事故を経験した我が国が、一体その悲惨はどこまで広がるものなのか。それは、金額的な問題のみならず、受ける精神的な、あるいは生活のダメージ、いろいろ大きなものがございますが、大臣は、昨年暮れの閣議決定に御参加でありますから、この被害の総額、賠償、除染あるいは汚染水処理など、そこで話されたことも御存じかと思いますが、この被害の大きさについての認識はいかに持っておいででしょうか。

 

○岸田国務大臣 東日本大震災、発生してから六年の歳月がたったわけでありますが、御指摘のように、さまざまな方々がさまざまな形で、まだ引き続き大変な被害の影響を受け続けておられます。政府としては、そのことを深刻に受けとめなければならないと思います。

私も、政府の復興推進会議あるいは原子力災害対策本部会議、こうした組織の一員でありますので、こうした被害の深刻さ、重みをしっかりとこれからも認識しながら努力を続けていきたい、このように考えます。

 

○阿部委員 この被害額は、閣議決定の中では一応二十一・五兆円という数値が挙がってございますが、日経新聞のシンクタンクである日経の経済研究センターというところの試算では五十兆から七十兆という数値が挙がっております。

これは経済産業省にお伺いしたいですが、私が比較すると、廃炉・汚染水対策、特にトリチウム対策などが、今、海に放出、どうするかということも懸念されておりますし、あと、取り出したデブリあるいは放射化したいろいろな物質をどこで保管し、どこで最終処分していくかなどにかかる膨大な費用を試算すると五十兆から七十兆、これは倍以上の数値が出ておるわけです。

高木副大臣に伺いたいと思いますが、国民から見ると、ずっとこの被害額はどんどんウナギ登りでした。起きた年の暮れはたしか五・五兆、そして二〇一三年には十一・五兆、二〇一六年暮れには二十一・五兆、今回、あるシンクタンクが試算されると五十兆から七十兆。やはり国民もどれくらいかかるのか不安、恐らく世界もそうだと思うんです。この間、日本が原発輸出を試みた国、ベトナムなどもその懸念が大きかったと思います。インドとて同じだと思いますが、それが明確にされていない、検証もされていないことについて、副大臣の見解を伺いたいです。

特に、エネルギー基本計画の中で、第三者機関を設けて原子力にかかわる情報は透明化、国民からアプローチしやすい、そしてデータが比較、検証し得るということを、つい三年前のエネルギー基本計画二〇一四年では述べておりますが、全く実施されていないと思います。いかがでしょう。

 

○高木副大臣 今委員御指摘がありましたように、今回の福島第一原子力発電所の事故の損害また賠償を含めた費用について、御存じのように、原賠・廃炉機構法、今国会で二十一・五兆円という試算のもとで法案審議が行われておりました。

まず、今回の事故、御存じのように、私たちも経験したことのない未曽有の原子力災害でございました。そういった中で、廃炉、賠償、除染などにつきまして、これまで、限られた知見の中で、現段階では十分に見通せない不確定要素、これはあると思います。その中で、所要資金を相当な確度で具体的かつ合理的に見積もること、これはなかなか困難であるとは考えておりますが、ただ、やはり被災者の皆様方に対するさまざまな支援、賠償、そして中間貯蔵の問題、廃炉の問題を解決しなければなりませんので、その所要の資金の見通しということ、復興加速化の観点から必要となる制度の整備または資金の確保に資するように、政府の取り組み方針も含めて、現時点で最新の情報に基づいて、一定の蓋然性を有するものとして今回提示をさせていただいております。

そういった中で、御指摘がありましたシンクタンクの五十兆から七十兆、こういう試算でございますが、例えばトリチウムのことを言われました。これは、今の科学的技術におきましてトリチウムを分離することはほとんど不可能でございます。そういった中で、実は、この福島第一原発の事故以外でも、世界各国、原発を稼働しているところは、トリチウムをいわゆる海洋放水等しております。ただ、風評被害もございますので、科学的には安全であるけれども、なかなか海洋放出ができない、こういう実態のある中で、漁業者のお気持ち、またはそういう実態、それをしっかりと勘案した上で、これも今議論を進めさせていただいております。

委員御指摘のあった、これは前、ほかの委員会でも御指摘があったと思いますが、そういうオープンな、透明性の必要、これは私もそのとおりに思います。そういった中で、今回の二十一・五兆円も、東電委員会と第三者委員会で提示をさせていただいて、それを国会の場でも開示をさせていただきながらやってきた事実もございますので、今後もそういう透明性の確保については、経済産業省、エネルギーを担当する分野としても、努力を進めてまいりたいと考えております。

 

○阿部委員 二点指摘させていただきたいですが、今おっしゃったトリチウムの処理等々も含めてですが、この試算は、東電改革・一F問題委員会、この東電改革委員会はクローズドです、オープンではありません、国民は見えない、わからない。有識者会議は外部委員会ではありません、附属しています。そういう形でやればやるほど、国民は、どこかわからないところで計算したものを負担しなさいなと押しつけられる、そして、その全体像が見えないということでありますので、経済産業省として、ぜひこれはもっと透明性を高める取り組みをしていただきたい。

私がそういうことを申し上げますのは、これは続けて高木副大臣にお伺いいたしますが、今回、もしインドに輸出したもので事故等々があった場合に、損害賠償の補完的、CSCという条約は、二〇一六年にインドは批准いたしておりますが、二〇一〇年に既にインドが国内法でつくっている原子力賠償責任法においてはメーカー責任ということも問われるわけであります。

一つのメーカーで二十一兆、五十兆、七十兆、できないです。当然私は、そこまであることだから、今非常にこの問題は慎重であらねばならないと思いますが、そういう御認識はおありですか。

 

○高木副大臣 今御指摘ありましたように、インド政府は、インド国内法令で、事業者への責任集中を原則とした、両国が加盟する原子力賠償に関するCSC条約に適合、運用するとの解釈を示しておりまして、このような点も踏まえつつ、具体的にどのような契約をいわゆる原発メーカーが締結していくかは、これは企業が判断していくものだと考えております。

その上で、我が国といたしましては、核不拡散の枠組みを堅持しつつ、相手国の事情や意向を踏まえ、安全性の高い原子力技術を提供していくこととしておりまして、これはインドのみならず、原子力輸出に関する我が国の基本的な考え方でございます。

これは、メーカーがそういうような状況の中で、これは輸出をしよう、出していこうと、最終的な判断は国がするのではなくて、最終的にメーカーがする、こういうことになると思います。一方で、こういうような国内法があるということもそれぞれのメーカーはしっかりと判断していく、このように考えております。

 

○阿部委員 以前、原子力保安院があったときには、輸出に際してその安全性についても保安院で一応チェックしておりました。今の原子力規制庁になってその体制はなくなっております。メーカー責任と言われても、日本から輸出したもので膨大な被害が発生したならば、日本国として黙っているわけにはいかない。それこそ、インドとの国際的な信頼にもかかわってしまいます。

私がこれだけ申し上げて、ここは今回は終わらせていただきますが、担保もないし、大体被害額が今確定できないのですから、そういう重大事故もあり得るという前提で臨まないと、安易な輸出はとてもできないということだと思います。

最後に、JBICにお越しいただいていますので、お伺いいたしますが、原発等々あるいは鉄道等のインフラ整備にJBICがお金を融資していく場合に、特に原子力産業にあっては、原発建設は、世界各地で資金不足や住民の反対に遭っておりまして、遅延をいたしておるという現状がございます。

その中で、JBICがそのリスクを評価する中に、住民に対する情報公開と住民協議が極めて重要であるというふうに、関連閣僚会議を経て、JBICの方でも検討しておられると思いますが、特に、住民にどういう情報を提示するのか、住民合意のとり方などについてお考えを伺います。

 

○林参考人 お答え申し上げます。

今御指摘がありましたとおり、私どもJBICといたしましても、原子力関連プロジェクトにおいては、住民への情報公開や住民との協議が適切に実施されることはとても重要なポイントだというふうに考えております。したがいまして、私どもJBICとしましては、情報公開指針に基づいてこれを確認することを現在考えております。

JBICとしましては、二〇一五年の十二月以降、原子力関連プロジェクトにかかる情報公開指針の作成について、これまで五回にわたりましてコンサルテーション会合を開催しまして、NGOの皆様とか産業界の皆様などから幅広い参加を得て協議を進めているところでございまして、今後も、より一層幅広く意見を得ながら検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

 

○阿部委員 ぜひその姿勢を後退させることのないよう取り組んでいただきたいと思います。

終わらせていただきます。

 

○三ッ矢委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

2017/06/13 国会質疑   abetomoko