国会よりBlog

5月17日厚生労働委員会議事録

○丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

質疑を続行いたします。阿部知子君。

 

○阿部委員 民進党の阿部知子です。

本日午前中に、法務委員会におきまして、金田法務大臣の不信任ということが提出をされております。国会の審議のあり方、政治家同士がきちんと国民の代表として論議を重ね、国民に説明責任を果たすということが十分でないという点だと思いますが、私は、この間、さまざまな法案の審議において、やはり非常に審議がある意味では次々と加速をされておりまして、十分に果たしてこれで審議が尽くされただろうかと思うことが多々ございます。

きょうの医療法の改正につきましても、性格の異なる四つないし五つの部分が一緒に改正にかかっております。検体検査、特定機能病院、あるいは医療の広告規制、そして持ち分なしの医療法人制度、それぞれに私は重要な点を含んでいると思いますが、特に特定機能病院の見直しという点に関しては、これは、今回の改正は前向きなものと思いますゆえに、これがきちんと定着していくような、深みのある審議をしていただきたいと思うものであります。

先ほどの柚木委員の御質疑で取り上げられました東京女子医大の問題も、実は二回にわたって特定機能病院の取り消しが起きて、そうした事態というのは、患者さんたちから見ても、果たして、本当に信頼できる医療機関が特定機能というブランドを持っていながら繰り返し起こるということで、医療の信頼を大きく損ねるものであると思います。

まず冒頭、塩崎大臣に伺いたいと思いますが、先ほど柚木議員とのやりとりの中でも、この再承認というか、取り消しの後の再承認ということに瑕疵はなかったのか、問題はなかったのか、二度にわたって取り消されるような事態になった理由というものを大臣はどうお考えであるか、一問目、お願いいたします。

 

○塩崎国務大臣 先ほど柚木委員に対しても回答を申し上げましたけれども、平成十三年に東京女子医大病院で心臓手術を受けた女の子が術後に死亡した事故につきまして、院内の医療事故等の報告制度が機能していなかった、安全管理委員会への報告も行われていなかった、そして、遺族からの御指摘があるまで、医療事故に関する事実関係等についての原因究明や遺族等に対する説明すらなされていなかった、こういうことを初めとして病院の運営管理上の問題が数々明らかになったわけでございまして、厚生労働省として、平成十四年に、社会保障審議会医療分科会の意見を聞いた上で、この病院の特定機能病院の承認を取り消したわけでございます。

その後、同病院の改善策として、病院長権限の強化、そして医療安全管理の充実、チーム医療の推進、こういったことなどに取り組んできたということで、再度、医療分科会で御審議をいただいて、実地調査も行って、その上で、平成十九年に承認要件を満たしているという判断をして、特定機能病院として再承認をしたものだというふうに思っております。

今回、改めて承認取り消しとなったことはまことに遺憾なことでありまして、我々としては、今回、この病院もそうでありますし、もちろん群馬大学附属病院、ここにも大きな問題が横たわっているというふうに思いますので、今回、医療法の改正でもって、医療安全というよりは、私は患者の安全と言いたいところでありますが、それを徹底する、そういうことを特定機能病院の承認要件にも追加をした上で、ワンランクアップの、この病院の、特定機能病院という病院の、言ってみれば存在意義を裏打ちしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

 

○阿部委員 今大臣のお話にもございましたが、二〇〇一年、女子医大で起きた平柳明香さんの問題をこの委員会で取り上げさせていただいたのは私であります。また、先般、先ほど二歳の坊やの御両親が来られておりましたが、これについてもこの委員会で取り上げさせていただきました。

結局、一回承認取り消し、そしてまた再承認となった分だけ、逆に、一体承認って何なんだ、本当にこれで大丈夫かという思いが、患者さんに大きな不信をまた与えていると私は思います。

大臣のお言葉の中で、ペーシェントセーフティー、本当に大事な視点です。私は、これまでの見直しの中で一番欠けているのは、恐らく、患者さんもあるいは被害を受けた方も参加した上での再承認のあり方なんだと思います。

実は、この女子医大が再承認されるときに、先ほど柚木さんもお触れになりましたが、平柳さんのお父さん、歯科医でいらっしゃいますが、やはり体制は変わっていないのではないかととても懸念をしておられました。また今回、同じようにプロポフォールの問題が起きて、いまだに御両親は納得ができないままだと思います。

私は、この前の再承認が何が一番欠けていたかといえば、そうした患者さんたちの目から見た病院の安全のあり方、何をどこまで共有されているのか、まさに患者サイドがどう思っているかということを第一にしないと、ペーシェントセーフティーはないんだと思います。

私自身も医療者ですから、医師はどうしてもパターナリズムに成り立ちます。すなわち、よくしてあげているんだから、私たちが安全を確保しているんだというふうに思いがちですが、実は、当事者である患者さんや御家族は患者さんの状態、容体の変化を一番実感していて、あのプロポフォールの事件もそうですが、何でずっと使い続けているんだろうと一番最初に思ったのは親御さんでありました。

大臣には、ぜひ、今回の改正に当たって、私はいろいろ評価するものは多々あります、その肝の部分に、患者さんたちの意見表明や、あるいは本当にどう思っておられるか、その気持ちを受けとめるという部分を重要に考えていただきたいと思います。

大臣がおっしゃるペーシェントセーフティーとはまさにそういうもので、今度日本で開かれる会合においても、日本がこれまで患者さんと医療の間の不信が大変強いと言われた国であることを逆に乗り越えていけるような、患者さんとのしっかりしたコミュニケーションを大臣にも図っていただきたい。

そして、委員長にはお願いがございますが、実は、今回の医療法の改正は、昨年、二十八年の六月の改正の折にも、大きな素地はそのときに打たれたものであります。だがしかし、いろいろな法律を一緒くたにやるので、一つ一つ押さえられないまま次々流れていっているというところで、本来は、今回の医療法改正も、私はぜひ参考人をやっていただきたい。あした、私どもは女子医大に行かせていただきますが、患者さんサイドの、別に女子医大の患者さんという意味ではないです、声が酌み上げられるようなシステムにするため何が必要かなども含めて、参考人ということもお考えいただきたいので、理事会で御協議をいただきたいと思います。

では、もう座らないで、うなずいていただきましたので、よろしくお願いをしたいと思います。

二番目ですが、実は、先ほど申し上げましたが、今回の改正は、お手元の資料の一枚目で見ていただきますと、ここの赤字の部分は、昨年、平成二十八年の六月十日に既に改正がされておりまして、例えば、医療安全管理責任者の配置、副院長を想定とか、専従の医師、薬剤師、看護師の配置を原則義務化とか、これはもう既にでき上がった骨格でございます。

今回加わったのは、病院の院長、管理者も合議体で選ぶということが新たに加わりましたが、実は、ベースは既に二十八年六月の改正ででき上がっていると私は理解しておりますし、この改正の最も評価されるべき点は、病院の管理の第一は安全である、安全性こそ管理の一義的な大きな目標であるということが改めて確認をされたという意味で評価をいたします。

その上で、大臣にお伺いいたします。

この専従の医師、薬剤師、看護師の部分でございます。副院長は、学校でいえば教頭先生のようなもので、全体を見渡している。実動するのはここの医師であります。この医師にはどういうことが期待されるかというと、例えば、各病棟を回って、ヒヤリ・ハット事例とか、あるいは、その目の前で、麻酔薬が長く使われ過ぎているよねなどの問題を違う目でチェックする機能、非常に密に病棟の安全管理を担う機能が医師、薬剤師、看護師に要請されております。

ところが、医療というのは、例えば、手術をした、投薬をした、検査をした、そうすると診療報酬で収入が入ってまいりますが、医療安全に幾ら心を砕いても、それ自身は収入を生むものではございません。すなわち、この医師の手配は、通常、私どもの業界では、医師はお一人約一億円以上、年間に収入を病院に持ってきてくださる役割と思っておりますが、そうした診療にかかわらないということにおいて報酬でいただくということはないわけです。

その分、この方たちの評価をきちんとしていかないと、結局、お金はこの方の行為について出るわけではないわけでありますから、塩崎大臣にお伺いしたいのは、これは大変よいことですが、この方たちが安定して、そして十分な能力を発揮できる、特に、現場にフットワーク軽く行ける医師、これの処遇についてどのようなお考えを今後持っておられましょうか、お願いいたします。

 

○塩崎国務大臣 診療報酬の話に入る前に、去年の六月で省令改正を行って、今お話をいただいたような、お配りをいただいているこういうことが決まっているわけであります。しかし、今回、特に、特定機能病院の承認要件に安全というのが入っていなかったというのはやはり私は問題だと思いますので、医療の高度の安全の確保ということを明示するということはとても意味があることではないかと思っております。

もう一つは、やはりガバナンスがきちっときく組織でないと、安全のいろいろな手だてをつくってみてもそれが機能しない、みんなが余りそれに重きを置かないようではだめであって、そのことによって、今回、管理者の選び方、そして、管理者が責任を持っている患者安全、医療安全を、本当にその安全のために全てをかけてやるかどうかというためには、やはりきちっとしたガバナンスの改革をしなきゃだめだということでありますし、また、開設者が、大学の場合、特に大学の理事会がいろいろな形で責任をとらなかったり、あるいは安全に反するようなことをやるというようなことがないようにしていかないといけないということで、選挙で選ばれるような、言ってみれば、次の選挙を考えて安全を後回しにするということが絶対にないようにするということで、特定機能病院の八割ぐらいは大学病院ですから、そこがほとんど選挙で病院長を選んでいるということを知って、私は、やはりこれは絶対にやめさせないといかぬということでありますし、マネジメントをきちっとやれるというのは安全を含めての話なので、他の病院の院長を経験した人がやるということにしようということで、省令でそれは書き込むことになっているわけでございます。

その上で、今お話がありましたように、医療安全管理部門に専従の医師、薬剤師、看護師などの配置を義務づける省令改正を行っております。

医療機関の医療安全対策については、特定機能病院も含めて、医療安全管理者として、医師を含む医療従事者を専従で配置している場合を診療報酬で今も評価をしているわけであります。

また、特定機能病院については、高度の医療の提供など、特定機能病院に求められる機能を踏まえて、入院基本料を一般の病院よりも高く設定しているわけでありますので、特に、特定機能病院の医療安全対策に関する診療報酬上の評価のあり方につきましては、こうした現在の診療報酬の評価や昨年六月の省令改正の影響等も踏まえて、関係者の意見も伺いながら検討してまいりたいと思っております。

いずれにしても、しかし、安全を含めて病院をきちっと運営していくというのが当然であろうかと思いますので、本当は、今までそういうものが、診療報酬をつけないと安全のことを考えないというのでは本末転倒でありますので、このことはよく考えた上で、しかし、そうはいいながら、今までの供給サイドに立ったような安全の取り扱いを、患者側、つまり需要者側の論理でも考える、両方の論理で考えるということをするために、インセンティブとしてどういう診療報酬体系が必要なのかということは、検討をしっかりやっていきたいと思います。

 

○阿部委員 先ほど申しましたように、医療は、やった行為について報酬が払われるという基本的体系を待っております。

でも、考えようによっては、実は、ある方々の統計によれば、医療事故による死亡事故者数は四万人で、それは肺炎に次ぐ五番目の死因になる、そういう統計を出す方もおられます。すなわち、死亡に至らせない、有害事象を減らしていけば、死亡も減るし、ある意味、コスト、お金も正しく削減できるんだと思います、やみくもではなくて。

すなわち、これまで医療の問題は、常に、医療事故、被害、その後をどうするというふうに論じられてきた。患者さんの抱える悲しみと、そして病院サイドでは、やろうと思ってやったわけではない、だけれども不幸な結果を生んでしまった結果、非常にぎくしゃくしている。

私は、このたびの改正は、起こす前の、未然防止という体制をどこまで実現できるかだと思うんです。病院には理念もあり、ガバナンスもあります。しかし、実際に起こさないためには、緻密に、ふだんから点検し、大ごとに至らないための体制が必要で、その部分を担う行為をどう評価するかということであります。

診療報酬上の多少の加点あるいは入院基本料での手当て、それも否定はいたしません。でも、もっと大きな目で見たときに、こういうことに積極的に国費を使っていくということはあっていいと私は思います。それは結果的に医療費の抑制につながります。結果的です、目的にするんじゃなくて。不幸な事故が減れば、必ず悲しみも、そして、何よりも医療者も疲弊いたします、自分で、事故冷や冷やでやっている、私もそういう経験がありますから、そこを未然に防止するために、十分な人材配置と、お金の面もあると思います。

私は、今どうやったらというのはまだ提案できません。でも、大臣には、今回の改正で、ここの人材をどう遇するか、やはりお金の面もどう考えていくかということだと思っていただければ、これからさらに実りあるものとなると思います。

大臣にそうしたことを御理解いただくために、名古屋大学病院の事案を少し御紹介したいと思います。

これはよい例です。今まで、何とか病院の事案というと、東京女子医大、群馬大学、どこそこで起きた事故ということで絶えずお話をしなきゃいけない、悲しむべき実態がありますが、名古屋大学では、一九九九年に実は横浜市立大学病院が特定機能病院で事故が起きて、あそこから特定機能病院のあり方が問題になって、二〇〇〇年、学長みずから、逃げない、隠さない、ごまかさないという理念を掲げて、それを担保するために、二〇〇二年に医療の質・安全管理部というものを設置いたしました。そして、二〇一一年の四月には、医療安全のための専門の科を設けて、専任教授を置いて、教授以下、専従医師、看護師、弁護士、事務職員から成る総勢十一人の組織で、病院の中に医療安全文化をどう定着させるかということをずっとやってこられました。

ここでの特徴は、起きた事故の後じゃなくて、日ごろからクオリティーとセーフティーを両方チェックして歩くということを常時行うようにして、クオリティー・セーフティー・チェック・マネジャー、医師四十八人、看護師四十二人、コメディカル二十三人。全部が専属とは申しません、でも、そういう面を持ったヘッドクオーターに十一人、実動部隊は今私が申し上げた数だけいるくらい、病院を挙げた取り組みがございます。

私は、日本の大学病院こそ、こうした医療の質を変える最先端の取り組みをやっていただきたいと思いますが、きょうは文科省から審議官に来ていただいておりまして、さて、日本の大学の中でこういう医療安全講座、そこに専任教授を置いておられるようなところはどのくらいあるでしょう。

 

○松尾政府参考人 お答えいたします。

先生御指摘のとおり、医学教育におきまして医療安全を学ぶことは、極めて重要だというふうに認識しております。

医療安全に関する講座でございますけれども、医療安全を冠した講座は八大学でございます。東京大学、今先生の御指摘の名古屋大学、大阪市立大学、北里大学等々初め八大学でございまして、医療現場における医療の安全性、信頼性の確立を目指しまして、医療機器や病院設備、ヒューマンファクターなど、相互に関連したトータルシステムのリスク解析などの取り組みが実施されております。

そして、医療安全に関する専任教授の配置状況でございますが、これは全体を網羅して把握してございませんが、例えば医学教育モデル・コア・カリキュラム、これは卒業時に学生が身につけておくべき必須の実践的診療能力の学修目標を提示したものでございますけれども、この中で、医療における安全性の確保に関する項目が盛り込まれており、先ほどの八大学に限らず、全ての医学部において、担当教員のもとで医療安全に関する教育が実施されております。

また、このモデル・コア・カリキュラムでございますが、二十八年度に改訂をいたしました。そして、これは三十年度から運用予定でございますが、医師として求められる基本的な資質、能力として、新たに医療の質と安全の管理の項目を盛り込みまして、学修目標の内容や項目の充実を図っているところでございます。

そして、さらに文科省では、大学を対象とした補助事業、これは課題解決型高度医療人材養成プログラムというものがございますが、これにおきまして、例えば名古屋大学などに対しまして、医療安全を踏まえた医療の質の向上をリードする人材育成に係る取り組みを支援しているところでございます。

こういったことを通じまして、講座の設置等を含めて、医療安全に係る教育がさらに充実するよう大学に対して促してまいりたいと思っております。

 

○阿部委員 今御答弁いただきましたが、現実にはこのモデル・コア・カリキュラムというのはお勉強なわけです。一つの勉強内容なわけです。本当は、オン・ザ・ジョブ・トレーニングではありませんが、実際に体を動かして、医療というのは本当にフットワークです、みずからの体で学んで、臨機応変に察知してという人材をどこまで育てていくかにかかっております。

塩崎大臣には、今度ここに専従医師を置くという、この専従医師の供給源は、今大学の中でそういう教育を受け、もっと言えばOJT、そういうトレーニングも受けた医師たちがたくさんできてこないと、実は今回の特定機能病院の現実の質の向上は不可能だと思います。一つは文科省とよく連携をしていただくこと。先ほど私が御紹介した名古屋大学では、文科省の科学研究費というか補助事業で、二〇一四年から一九年の三月まで、あすの医療人材をどうつくるかという補助事業で先ほど御紹介したようなこともやっておられます。

大臣からは、いつも医学教育について、非常に興味というか深い認識がおありと思いますが、医療安全文化が、文科省における教育分野と厚労省がつかさどる医療現場との間でどう橋渡しをしていけるか、そういう観点を強く持って今回の特定機能病院の実地を担う人材をお育ていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

 

○塩崎国務大臣 全ての医学部において医学生に対して基礎的な医療安全に関する教育が実施されているというのはそのとおりだと思いますけれども、一方で、例えば、今お話が出ました、名古屋大学の例をお取り上げいただきましたけれども、医療安全学の講座が設置をされているということで、もう中身についてはお話をいただいたとおりでございます。

こういうようなプログラムを履修した医療安全に関する専門的な知識を持っていらっしゃるお医者さんが、大学にとどまらず、市中病院などでも活躍をして積極的な医療安全の取り組みが拡大していくことが重要だというふうに思います。

また、医療安全の資質を有する医師を医療現場に充足させて医療安全への取り組みを一層活発化させるためには、今後とも、基礎的な医学教育や、高度な医療人材養成を通じた医療安全教育に取り組んでいる文部科学省と緊密に連携をしてまいりたいと思っております。

ただ、例えば、今回、群馬大学の問題、病院の問題を見てみても、やはりどういうガバナンスになっているのか。つまり、安全ということがどの辺にこのガバナンスの中で価値として置かれているのかということが私は大問題だと思って、ですからこそ、去年の省令改正にとどまらず、このガバナンスの体制を変えて、そもそも、ふだんからの物事の決定をたった一人の院長が、おまけに群馬大学の場合は二代続けての病院長が次の学長選挙に出ているんですね。ということは、病院の院長をやっているときに票を減らそうと思う人はいないと思います。

それは安全とのコンフリクトがあるというケースが間々あると私は思ったからこそ、病院長を選挙で選ぶということは少なくともやめてほしいし、本当は私は大学の学長も学部長も選挙はやめるべしということを強くずっと言ってきた人間でありますから、そういうことでないと、やはり大学病院は、特に先端医療をやるとなれば安全が優先するか新しいことをやることが優先するか、必ずコンフリクトがあるはずですよ。ですからこそ、安全文化を大事にする、供給サイドの論理だけでやったら安全は後回しになる、それで本当にいいのか。だからガバナンスを強化することが絶対に私は必要だと思って、なおかつ、ふだんの重要事項も合議体で決めるというのは、初めてこれは特定機能病院だけに限って導入をしようということにしています。

ほかの医療法人は、院長が全部一人で責任を持ってやることになっています。さあ、果たして本当にそんな大きい病院で全てを一人でやれることになるだろうか。そんなことも含めて、ですから、教育は教育で医療安全をしっかりやる、あるいはペーシェントセーフティーで患者中心に安全を大事にする文化をしみ込まされた先生方が先端医療をやっていただくということになることが大事なんだろうと思います。

しかし、日々の運営も含めて、安全がきちっと守られていく中で先端医療も同時に発展をするということをやれるようにどう知恵を出してこのガバナンスを機能させていくかということは、よほどよく考えないと、今までのようなことではうまくいかなかった、何で繰り返されるのかというのは、私はそこにあると思ったからこそ、ガバナンスの問題にこだわってこれを今回提案しているんです。

 

○阿部委員 私は、今回の改正は評価しています。大臣がよくそこまで踏み込まれたなと思います。

と同時に、その理念やガバナンスを実行していくには人が必要なんです。物事は下から支えていかないと、砂上の楼閣になってしまってはいけないなと思います。その下とは何かというと、支えは何かというと、一つは患者さんたち、一つはそこで働く医師たちが常日ごろそういうフットワークを持つというこの二つで、今回大臣が提案された合議体による院長の選出というのはきっと実を結ぶと思います。私は、これがうまくいっていただきたいので質問をしているので、そこは大臣と思いは同じであります。

今のお話にある特定機能病院、この間、医療事故の報告、調査、医療事故調査報告制度が平成二十七年に始まっておりますが、これまで二百二十六件あった。この中には特定機能病院のものもあり、そうでないものもございます。なかなか報告に上がっておりませんのは残念ですが、加えて、事故の真相究明のために解剖がどの程度なされているかということで、少し問題を、新しい視点に行きたいと思います。

二百二十六件の報告のうち、解剖されたものは四十三件。解剖とAi、画像診断、両方が三十二件、一四・二%。画像診断のみ五十五件、二四・三%。解剖もAiも実施していないのが九十六件、四二・五%。報告された死亡事故の事案でも、半分は基本的な解剖がなされておりません。もちろん解剖は患者さん、御家族の同意が必要ですけれども、私は、この点に関しても、特定機能病院として率先して改善していただきたい点がございます。

そもそも、特定機能病院の報告された事故における解剖率はどのくらいでしょうか。

 

○神田政府参考人 特定機能病院におけます解剖の割合についてのお尋ねでございますけれども、医療事故調査制度が開始しました平成二十七年十月から二十八年十二月までの十五カ月間に医療事故調査を実施し、特定機能病院で院内調査を終了したものは二十八件ということでございます。そのうち、解剖のみを実施したものが六件、死亡時画像診断のみを実施したものは五件、両方を実施したものは四件ということでございますので、全部合わせますと、二十八件中十五件ということで、実施率は五四%ということでございます。

 

○阿部委員 今の数値だと、ほとんど一般病院と変わらないのですね。

特定機能病院は、基本的には、解剖のための陣容もお持ちだし、ガバナンスというのは大事だし、上からの改革も大事です、重要なことの改革で。でも、実際の現場を、より、解剖一つ、あるいは医師のそうした処遇一つ、そしてミスに早く気がつく体制など現実の動きが大事と思います。

大臣には、今即答できないかもしれません、せめて特定機能病院では剖検を義務づける。私は、やろうと思えばやれる体制、事故の事案だけであります、全例ではありません。せめて事故の真相解明に率先して特定機能病院が働くような仕組みのためにも、解剖の実施率を基本的に全例としていただきたいが、いかがでしょう。

 

○塩崎国務大臣 これも、恐らく先ほど申し上げたガバナンスの問題に深くかかわることではないかなというふうに思います。

お互い供給側の立場にある、医師の中でどう決めるのかという難しい問題かと思いますので、先ほど申し上げたように、名古屋大学は非常にいい安全の文化をお持ちだというお話でありますが、そういうこともやはりガバナンスの中で、今度、院長の選考だけを合議体にするんじゃなくて、重要事項、ふだんの運営の重要事項も全部合議体でやろうと私は今回の医療法で御提起を申し上げているのは、まさにそういうことについても合議で決めていく、一人で決めて、その人が次の選挙のことを考えているようでは医療の安全は、患者の安全は守られないだろうという思いがあるので、私はそう思っておりますので。

医療事故調査制度では、その報告対象となる事案が発生した際に、解剖を行わなくても臨床診断によって死因を明らかにすることができないか、あるいは、遺族が解剖に同意をしているか否かなどを考慮した上で解剖実施の必要の有無を判断しているわけであります。

特に、解剖につきましては、医療機関それから遺族とも後になって実施をしておけばよかったということがないように、解剖実施の必要性については常に検討を行っていただきたいと考えているわけでありますから、新しいガバナンスの仕組みの中で、合議体の中で決めていっていただくということが大事なのかなというふうに思っております。

特定機能病院は、病理診断を適切に実施する体制を持っているではないかというお話がございました。承認要件となっていますから、一般の病院と比較して解剖を選択しやすい環境にもあるというふうに思います。特定機能病院における医療事故調査対象となった事例の解剖の推進については、制度の実施状況も踏まえながらも、関係者とも十分に意見交換を行ってまいりたいと思いますが、一義的には、やはり一つ一つの病院がどう意思決定をしていくかということかなというふうに思います。

 

○阿部委員 大臣は御存じだと思いますが、実は、女子医大の二歳の坊や、亡くなった子は、最初は自然死、病死といっておうちに帰されて、火葬が終わってから、現実にはプロポフォールの問題だとわかったわけです。親御さんは後からあのときと思っても、私は、事故はまず未然に防ぐのが第一です、起きた結果で云々というのは本当に避けたい、だけれども、結果からも学ばないと医療というのはよくならないので、そういう観点で申し上げました。やはり解剖というのは医学の基本ですから、それはもちろん、合議体で了解を得ないと、実際、命令してやれるものではない。ただ、安全文化の重要な一角だと認識していただきたいと思います。

さて、こうした病院に外部監査をかけるということも昨年、二十八年六月、決まっております。この外部監査を患者さん、市民から見やすい形にするための工夫、私は二つ見ましたけれども、千葉大学と藤田衛生大学、千葉大学のホームページに出ているものは、比較的、患者さんからも、ああ、こういうことをやっているんだとわかりやすいと思います。

今、事故報告調査制度も、ほとんど患者さん、家族、知りません。そうすると、病院が何をやっているのか、患者さんの声を聞いているのかというようなことをもっと上手に発出、発信してほしいと思いますが、外部監査の発信の仕方、時間が終わって済みません、一言、お願いいたします。

 

○塩崎国務大臣 大学附属病院などにおいて医療安全に関する重大な事案が相次いで発生をしたことを受けて、去年の六月に省令改正を行って、特定機能病院の承認要件の見直しを行った中で、医療安全に関する監査委員会の設置、これを全ての特定機能病院に義務づけまして、監査委員会は委員の過半数について病院と利害関係のない外部の者から選任をするということで、監査結果については当然公表をするということであります。

その公表の方法は、ホームページで公表することが望ましいということを示しておりまして、患者の方々など一般の方々がわかりやすい内容として入手しやすい方法で公表されるように特定機能病院に対して働きかけてまいりたいと考えております。

 

○阿部委員 まだ残りがございます。またよろしくお願いいたします。

 

○丹羽委員長 次に、大西健介君。

2017/06/13 国会質疑   abetomoko