和田しげるさんと語る
 

~ 日本の格差・「改憲」 ~

 
和田 しげる(わだ・しげる)さん
1955年、広島県の農家に生まれる。73年、高校を卒業し、日産自動車(株)に就職。77年、国労共済生協に転職。82年、国鉄労働組合(国労)本部に移籍後、研修生としてITF(国際運輸労連)ロンドン本部に派遣される。85年に帰国、国鉄分割・民営化時代を経て、87年、ITFに就職し、アジア太平洋地域の責任者として活動。2003年、05年の衆議院議員選挙で社民党公認候補者。現在は党神奈川県連合副代表。
【連絡先】「和田しげるを応援する会」TEL045-681-2561 
e-mail:sdp@sdpkanagawa.com
和田しげるウェブサイトhttp://www.shigeru-wada.info/index.html

 

 

 【対 談】日本の格差・「改憲」
 
日本では、 労働分野の規制緩和の結果として、 特にここ数年、 非正規雇用が拡大、 労働環境は劣悪化し、 貧困層が拡大しました。 また、 改憲のための国民投票法が成立し、 憲法9条を変えて戦争ができる国にする流れも加速しています。 この国で暮らす人たちの生活と命が脅かされているなかで、 格差拡大政策を食い止め、 憲法9条を守り 「改憲」 を阻止しようと、 7月の参議院議員選挙で国政を目指す和田さんに今の思いと主張を聞きました。
 ■福祉切り捨ての一方で ミサイル防衛計画に6兆円!?
 
阿部 国政に挑戦するにあたって、 一番訴えたいことはなんですか。

和田 私は格差と平和は、 ひとつながりの問題と考えています。 改憲により日本を戦争のできる国にする流れが目指すものは、 軍事予算に莫大な税金を費やすことです。 ミサイル防衛計画にはおよそ6兆円、 米軍再編に関わる基地の移転費用の負担は3兆円かかるといわれています。 すでに毎年、 「思いやり予算」 として在日米軍基地の維持のために2500億円の税金が使われています。 そんななかで、 福祉は切り捨てられています。 つまり、 改憲を目指す流れは、 普通に働く人、 年金で暮らす人の生活を破壊し、 負担を増やす流れと重なるということです。

阿部 神奈川の雇用状況をどう捉えますか。

和田 神奈川の最低賃金は717円で、 全国では高い方だと言われますが、 80年代のサッチャリズムで労働分野の規制緩和がすすんだイギリスでも、 最低賃金は1300円ほどです。 アメリカでさえ、 昨年暮れの民主党の躍進で、 最低賃金を3割増しにする法案が通りました。 神奈川の最低賃金717円というのは、 1ヶ月22日働いても12万円程度にしかなりません。 これで家を借りて普通に生活していくことができるでしょうか。 神奈川を含め、 日本の最低賃金は低すぎるのです。 神奈川は、 全国の季節労働者、 契約労働者が集まって働く街でもあります。 最低賃金の問題は、 特に重要と考えます。  
 

 

 ■最低賃金を上げて 中小企業の収入も増やす
 
阿部 最低賃金について社民党は、 まず全国一律1000円という基準を設けて、 土台のかさ上げをする政策を掲げています。 最低賃金を上げると中小企業がつぶれる、 と言う経営者や経済学者もいますが、 どうすれば最低賃金を上げることが可能だと思いますか。

和田 二つあると思います。 一つめは、 現在のような低賃金が横行している状況から一夜にして時給1300円や1400円にするということではなく、 一定程度の経過措置を講じること。 二つめは、 最低賃金を一律に引き上げても、 中小企業への支援などで穴埋めをしていくということです。 日本の産業構造は、 莫大な利益をあげている大企業がある一方、 それに連なる下請けの中小零細企業から成ります。 日本の労働分配率はほかの先進国に比べて低いですから、 引き上げた最低賃金を基準に中小企業の側が大企業への納入価格を決めればよいのです。 労働組合や市民団体が企業を監視する役割を果たし、 安すぎる賃金で労働者を働かせる企業には社会的制裁が加えられるような社会にすることも必要です。

阿部 高度経済成長以降、 日本では、 労働組合は男性正社員の利益確保に主眼を置いて、 雇用形態の違いによって低賃金で差別される非正規雇用の存在を許してきました。 企業の監視どころではなくなってしまいましたね。

和田 メーデーの始まりは、 1886年にアメリカで長時間労働に苦しむ労働者たちが、 8時間労働制実現のために立ち上がったことでした。 日本の労働組合は、 その目的を忘れている節があります。 若い働き盛りの人たちは、 暮らしのこと、 自分の趣味のこと、 地域のこと、 政治のことを考える余裕もなく、 長時間、 過重労働に追われています。 人間らしい働き方、 生き方を取り戻すことが必要です。

阿部 女性や若い人に顕著な細切れ雇用も問題です。 EUのように、 特別な事情がない限り、 有期雇用を禁止することも必要でしょう。 また、 大企業は正規雇用労働者の社会保障を丸抱えし、 非正規雇用で働く人は企業福祉から排除されるという状態から、 社会がセーフティネットを保障する本当の社会保障へと移行しなければなりませんね。

和田 総じて大企業の方が企業福祉が厚く、 中小零細企業ではその余裕がないことが多いのが現状です。 企業福祉の不均衡は格差拡大の一因でもあるので、 下げすぎた法人税を適正に収めさせて、 福祉は政治の力で公正に処遇することが大切です。

 

 ■暮らしのリズムを変える
 
阿部 のべつまくなし追われるように働かなくても、 そこそこ働いて、 安心して生きていける社会にしたいです。

和田 日本も農村では、 生活のサイクルに合わせて、 それぞれが働き方を調節していました。 私は農家の生まれですから、 農村の働き方を身近に知っていますが、 母親は子どもにお乳をやるときなど、 農作業を早く切り上げていたものです。 それが今は、 フルタイムで残業もいとわず会社の都合に合わせて働く人だけが 「正しい労働者」 と見なされ、 それ以外のフルタイムでは働けない人、 働かない人は半端者として処遇されます。 そんな人に冷たい都市では、 電車のなかでも隣に立っていて大丈夫かなと思わされるほどのストレスを抱えてつらそうにしている人に出会うことが多くなっています。

 

 ■夜間離着陸訓練の爆音、原子力空母 沖縄に次ぐ基地のある神奈川で
 
阿部 では、 平和については、 神奈川では具体的にどんなことを訴えますか。

和田 神奈川は沖縄に次いで基地のある都道府県です。 最近では、 突然、 深夜0時過ぎに厚木基地の夜間離着陸訓練が行われて、 周辺に爆音が鳴り響くということも起きています。 さらに、 横須賀港は米軍の原子力空母の母港になろうとしています。 国も自治体も管理の目が届かない原子炉だというだけでなく、 長期間にわたって炉の蓋を開けない非常に危険な原子炉が横須賀にあるということです。 ひとたび事故が起きれば、 神奈川県全体に死の灰が降るということを現実の問題として意識しなければなりません。

阿部 格差拡大と戦争に向かうのではない道を、 神奈川、 日本が選びとっていけるように、 ぜひ、 ご奮闘ください。 応援しています。
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(「阿部とも子News ともことかえる通信No.28」(2007年7月号)に掲載)