2021/05/17

2021年5月12日 内閣委員会 「ストーカー規制法」改正の質問に立ちました

2021年5月12日 内閣委員会 「ストーカー規制法」改正の質問に立ちました

                              

ストーカー規制法は、女子大生が殺害された「桶川事件」をきっかけに2000年に制定されました。しかしその後も凶悪事件が後を絶たず、さらにインターネットの普及によって、つきまといや嫌がらせ行為の手段が多様化してきたことにより段階的に改正が行われ、今回はGPSを使った付きまとい行為も規制の対象となりました。けれども、ストーカー規制法では「恋愛感情や、それが満たされなかったことに対する怨恨(えんこん)の感情を充足する目的」という要件、つまり「動機のしばり」があり、恋愛感情に当てはまらなければ取り締まりの対象外とされてしまいます。すでに平成25年の改正時に、恋愛要件の撤廃についての検討が法律の附則に明記され、さらに平成29年にはストーカー総合対策に、被害の未然防止対策の重要性が盛り込まれたにも関わらず、今回の改正には反映されませんでした。

 

相談体制の充実強化について

ストーカー行為そのものが犯罪であって、動機は関係ありません。ストーカー事案は恋愛関係だけにとどまらず、様々な人間関係に起因することから、多面的かつ的確な対応が要求されます。

民間の支援団体が行った実態調査では、最も必要な対策として相談体制の充実が6割を占め、ストーカー事案に特化した相談窓口や、女性警察官を中心とした配置、加害者への相談呼びかけの取組みなど、さらに一歩踏み込んだ対策を求めていますが、これらの指摘に対し、警察庁では具体的にどのような対応をしたのかについて問いました。

HP上で相談の呼びかけを加害者やその家族にも行っている。また、京都府警ではストーカー事案に特化した相談窓口を設置している。こうした取り組みを行っている例を周知していきたいと応じました。

 

被害者保護や支援の体制強化について

ストーカー行為による被害女性の避難先として、警察⇒配偶者暴力相談支援センター⇒婦人保護施設の入所、あるいはホテルやウイークリーマンションの入所など、一定の取り組みは行われていますが、民間シェルターの活用や自治体の支援のネットワーク強化などが課題として上げられています。

現在把握されている民間シェルターは、全国に122か所(R1年)とされ、実態調査では役割の重要性に反して財政面や人的基盤がぜい弱で厳しい状況にある実体が浮かびます。活用に向けて人件費や人的配置に十分な支援が必要です。また、9割の自治体が民間との連携を避けている状況について、吉川内閣府政務官にリーダーシップを発揮して推進してほしいと激を飛ばしました。

     

加害者への対応、支援について

 つきまとい被害に苦しむ人たちが被害以前の暮らしや活動を制限されることなく安心して生きていくためには、加害者に変わってもらわなければなりません。ストーキングは本人の意志ではどうにもならない依存症の一種で、加害者本人も苦しんでいます。

事後の刑罰ではなく、事前に執着心や支配欲を取り除き加害者を無害化することの重要性がわかってきました。加害者に対する警告や禁止命令の段階で、警察官ではなく精神保健福祉士や臨床心理士等の専門家がアプローチすることにより、治療につなぎ成功した事例が報告されています。

早い段階で加害者にカウンセリングや治療を義務付けることについて、ストーカー規制法第5条の、「ストーカー行為を防止するために必要な事項」に、「加害者に対する精神医学的・心理学的手法によるカウンセリングや治療」を読み込み、義務付けを図ること提案し、質問を終わりました。

  

以 上

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