○阿部委員 ありがとうございます。民進党の阿部知子です。
まず、今回アドバイザリー・ボードをお引き受けいただいた黒川先生には、国会初の事故調、そして国際社会への発信、本当に敬意を表します。
きょう、私は、残るお三方、初めてですので、短く一つずつお願いいたします。
まず、石橋参考人には、私は、あの「わかりやすいプロジェクト」ってすごくおもしろくて、高校生がいっぱい見てくれるといいなと思いましたが、若い世代への波及というか、実際どのように活用されていますでしょうか。
そして、藤垣委員には、ドイツは、いわゆる倫理委員会をもって原発の廃止を決めていきました。そこには、科学技術と、それを受けての人間という、そこの間に起こることを一番重要に、すなわち、市民参加、住民参加ということを第一に、その意見を酌んでという形を行ったと思いますが、今後、我が国がそのような形になっていくために、まず何をやるべきか。
最後に、桑子委員には、先ほどお隣の木内さんも言われましたが、東電の事故にかかわる費用も試算もばらばら。原発、安いのか高いのかもばらばら。データをどう読むか。国民が共有できるデータのあり方はどうか。
お願いいたします。
○石橋参考人 ありがとうございます。
「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」では、国会事故調の報告書、今でも、先ほど御紹介した衆議院のホームページからもアクセスできる国会事故調のホームページから、委員会の動画も見ることができます。それを活用して、いろいろなことを考えるということをやっております。
例えば、事故調の委員会を見て、当時、黒川先生が、委員長コメントというのを、委員会の最後に、三十分後にやるということをやっておりました。そのコメントを実際につくる、記者会見のようなものをしてみるというふうな取り組みをしたりしています。
また、先ほど、私の前半のお話の中で一番最後に御紹介した共同コメントというのがありましたけれども、福島原発事故を取り巻くさまざまなステークホルダーになり切って、過去を振り返って、今何をどう思うのかということを発言してみる。その中で、自分の本当の心の中と、自分の口から出てくる言葉のずれはなぜ起こるのか。そこから、何をどう考えるのかというふうなことをみんなで議論して考えるということをしております。
その結果、これは福島高校の生徒ですけれども、何が大事なのか、自分の頭で考えること。自分の頭で考えたふりをして、自分の外側にある権威に寄り添って、それをそのまま口に出して言ってしまうことをいかに防ぐのかということが大事だという気持ちになっている人がたくさんいます。
以上のような活用をしております。ありがとうございます。
○藤垣参考人 御質問ありがとうございます。
ドイツには、確かに、安全なエネルギー供給に関する倫理委員会というものがございまして、そこが、日本の事故を受けまして、ドイツでも二〇二二年までに原発を全廃するということを決めました。
この倫理委員会にはどういう人が入っていたかというと、科学技術社会を考える人、社会学者、それから倫理学者、人類学者、社会科学系の人が多いんですけれども、日本が倫理という言葉を使うときに込める倫理という意味と、この倫理委員会の倫理の意味は少々違っておりまして、それこそ、市民参加も含めて、科学技術ガバナンスを考える委員会と考えていいんじゃないかと思います。
それで、御質問は、まず、そういうことを考えるときに、それと同様のことを考えるとき、日本は何をすべきかという御質問だったと思いますけれども、それこそ、市民参加も、市民の議論も含めた形で規制委員会を改組するのか、あるいは、規制委員会と並行して、原発ガバナンスを考える国民会議みたいなものを、さまざまなステークホルダーなり、あるいはドイツの倫理委員会を模擬してつくるのか、両方の道があるかと考えます。
○桑子参考人 ありがとうございます。
費用とデータのあり方というとても重要なポイントだと思います。黒川先生の方からアカウンタビリティーというお話がありました。アカウンタビリティーのとても大事な意味は、アカウンティングといいますか、会計についての情報をしっかり開示して、それに基づいて、関係者がきちんとした判断ができることというふうに思います。
原発の問題をめぐっては、東電の財政状態、それと、例えば東芝も関係しているでしょうし、大きな企業、あるいは、ゼネコン等の関係する、そういう財政的な問題がさまざま入りまじっていると思います。あるいは、国民がどういうふうな形でこれを負担しなければいけないかということが、国民にわかるような形で示されていないと思いますね。
これは、どういうふうな形で、会計のあり方、財政のあり方を示すのかということも含めて、やはり制度をしっかりしていかなきゃいけないんじゃないかというのが私の考え方でありまして、会計というのは、もともと司馬遷の史記にある由緒ある言葉なんですね。治水をやった禹という王様が、その事業について、関係した人たちの事業評価をきちんとして、それに対する報酬を考えるというのが会計の考え方ということで、そういう意味で、原発の問題は、会計、財政、費用、このデータをどういうふうに整理して、またわかりやすいやり方で国民に情報を共有してもらうかということが非常に大事なポイントだと思います。
ありがとうございます。
○三原委員長 そろそろ理事会で決定した時間になりましたので、今回の会議は、これにて参考人に対する質疑を終了させていただきたいと思います。
この際、一言御礼を申し上げたいと思います。
参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。(拍手)
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。