2019/11/19

子宮頸がんワクチンについて厚労委で問題を提起しました

 11月13日、あべともこは、厚生労働委員会で審議された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律の一部改正案」(薬機法改正案)に関連し、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)を取り上げました。

◆動画はこちらから、

◆資料は19.11.13薬機法質疑資料.pdfからご覧ください。

 日本ではサリドマイドやスモンをはじめとする薬害事件が起きるたび、被害者がやむにやまれず訴訟を提起することによって薬事行政の見直しが行われ、薬事法・薬機法の改正に繋がってきた歴史があります。1999年には薬害エイズ事件をきっかけに厚労省の前庭に「薬害根絶誓いの碑」が建立され、二度と薬害を繰り返さないことを誓いましたが、その後も薬害肝炎、薬害ヤコブ、イレッサなど、深刻な薬害は後を絶たず、半世紀にわたって繰り返されています。

 今回、積極的接種勧奨再開が近いとされているHPVワクチンについて、主に承認審査、調査研究のずさんさ、リスクの高さ、診療体制の不備について加藤大臣に質しました。

1. 成分も作用原理もこれまでにないワクチン

 2007年9月26日に承認申請が出され、2009年10月16日に承認、12月から販売開始されたHPVワクチンは、子宮頚部の表面にその抗体が長期間浸み出してくるよう設計され、その効果を高めるために強力な免疫増強剤(アジュバント)が添加されています。特に『サーバリックス』は、その成分がアルミニウムにMPLという免疫を活性化する物質を配合した新しいものであることに加え、昆虫細胞をたんぱく質の発現細胞とする初めての遺伝子組み換えワクチンでした。審査において、体内の免疫系統に大きな影響を及ぼす恐れがあるため、製造後引き続き安全性情報のフォローアップに努め、販売開始後8年以内に使用成績調査を実施することとされました。

 しかし、2010年4月に定期接種となってわずか2カ月後、その被害の重大性から、「積極的には勧めない」とされたワクチンです。

 販売後8年以内に、しかもそのうちの2年間のみ、わずか1000人に対して実施すればいいとは、何と悠長なことでしょう。案の定、調査結果は8年が終わるまで報告されず、期限ぎりぎりにPMDA(医薬品医療機器総合機構)に再審査申請されたものの、結果が出るまでにはさらに1年以上かかるのです。

 ワクチンは健康な身体に接種するものであり、安全性はことさら厳しく審査されなければなりません。販売後早期に迅速な使用成績調査を義務付けるべきではないかと加藤大臣に問うと、「制度を常に精査をしていくというか、検討していく必要があるだろうと思う」との答弁。今回の薬機法改正によって「条件付き早期承認制度」や「先駆け審査制度」などが法定化され、少ない有効性・安全性データで正式承認して販売し、市販後の検証試験もお座なりであれば、また薬害が繰り返されることは火を見るより明らかです。大臣には前向きに取り組んで頂かねばなりません。

2. 副反応の特異性を検証するためPMDAの体制強化を

 HPVワクチンの救済認定件数について、多いという認識はあるかと大臣の認識を問いましたが大臣から答弁はなく、医薬生活衛生局長から、そもそもワクチンは接種人数が推定でしか把握できないのでわからないとのごまかし答弁。ちなみにHPV薬害訴訟弁護団の資料では100万人当たりの障害認定数は12.6と群を抜いて高いことが示されています(資料②)

 また、HPVワクチンは高い抗体価が持続するため、これまでの常識を打ち破り長い年月を経てから副反応が出てくる可能性があります。実際に厚労省研究班の信州大学池田教授の調査では初期接種から症状発現までの平均期間は319.7日と報告されています。厚労省の調査でも一カ月を超えるケースが2割に上っており(資料③)、さらにこれまでの副反応には該当しない未知の副反応が出現していることから、医師であっても見過ごしの可能性が指摘されています。

 まず、PMDAに疫学の専門官を増員し、承認時調査はもちろん事後の検証を充実させなければ、安全性の知見の蓄積ができません。この点について質すと、加藤大臣はPMDAがどういう機能を果たしているのかについて検証してみたいと答弁。

 審査部門のマンパワーの充実は急務です。
 

3. 早急に診療体制の改善を

 確実な治療体制の提供については、前出のHPV薬害訴訟弁護団の資料によれば、厚労省が指定した全国85か所の協力医療機関のうち、HPV薬害訴訟原告123名(2018年現在。現在は131名)が現在も利用している協力医療機関はわずか10か所にすぎません。しかもそのうちの3分の2は1病院(鹿児島大病院)に集中。この1病院を除くと9病院で10名が受診しているのみ。また、8割が遠方の病院を受診した経験があるという結果が示されています。

 協力医療機関が居住地にあっても、詐病扱いされたり有効な治療が行われないなど、ほとんどが機能していない実態について、診療内容の調査を含め、何を改善すれば抜本的な見直しが図れるか、患者さん本人の声を聞くべきではないかと大臣に質しました。加藤大臣からは、「10か所以外がなかなか行けない状況にあるとすれば、何がそういう原因なのかも含めていろいろお話を聞かせていただきたい」と答弁が。

 新たに設置される第三者委員会には、まず第1に当事者の声を反映させる仕組みが大切です。