阿部とも子は4月14日に「東京電力福島第一原発の汚染水の海洋放出シミュレーションに関する質問主意書」 を提出しましたが、本日その答弁書が閣議決定されました。
成果は「問四」への答弁です。
「核種除去設備等処理水の取扱いに係る関係者の御意見を伺う場 及び 書面による御意見の募集について」
のうち、「書面による御意見の募集について」について「一者一回のみ」「A四サイズ一枚以内」との制限について、「意見公募要領から、意見提出の回数制限等を削除しました」と変更されたことでのみです。引き続き、問題を追及し、改善を求めていきます。
なお、質問全文と回答の概要(赤字)は以下の通りです。
東京電力福島第一原発の汚染水の海洋放出シミュレーションに関する質問主意書
経産省は、「多核種除去設備等処理水の取扱いに係る「関係者の御意見を伺う場」」(以後、御意見を伺う場)の第一回を四月六日月曜日に開催した。さらに、政府が新型コロナウイルス対策として、従来からの外出自粛要請に加え、四月七日の緊急事態宣言で、大型連休が終わる来月六日までの一層の外出自粛を全国的に呼び掛けたにもかかわらず、関係者を呼びつけた形で、第二回を十三日月曜日にテレビ会議で強行開催した。
議員連盟である原発ゼロの会は、四月九日に経産省からヒアリングを行い、緊急事態宣言が解除されるまでは、御意見を伺う場は中止することを口頭で、そして十日には経産大臣宛ての文書で要請したが、聞き入れられなかった。特に、海洋放出した場合の拡散シミュレーションには疑義があり、それが放置されたままで意見を伺ったという既成事実が積み上げられていくことには問題があるため、以下、質問する。
一 御意見を伺う場に出された資料のうち、東京電力による「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告書を受けた当社の検討素案について」(以後、検討素案)には、海洋放出を行った場合の拡散シミュレーションが含まれている。この拡散シミュレーションには多くの疑問点が指摘されているため、四月九日に原発ゼロの会が行ったヒアリングの場で、経産省に説明を求めると、経産省はこの検討素案は東京電力が作成したもので、経産省としては未精査なままであり、説明責任は東京電力にある旨の回答があった。
ところが、四月八日に、福島県内の市民団体が東電と会合を行った場で、東京電力からは、経産省とすり合わせて協議調整後に作成公表したものである旨を認めたという。
1 経産省は九日の説明を変更するつもりはあるか。
2 東京電力の説明についてどのような見解を持つか。
3 拡散シミュレーションを作ることを提案したのは経産省か、東京電力か。
【回答(概要)】
1と2について
検討素案は東電が作成したものであり、東電において説明が行われるべきもの。
3について
経産省が東電に「拡散シミュレーションを作ること」を含め、処理水の処分方法の具体的かつ技術的な素案を示すことを求めた。
二 汚染水は、東京電力福島第一原発事故の結果、生じたものであるにもかかわらず、御意見を伺う場には東京電力の出席はなく、東京電力が出した資料についての説明もなく、質疑もなかった。緊急事態宣言解除後に、改めて汚染者であり、説明責任のある東京電力に出席を求めて、双方向でコミュニケーションができる場を開くべきではないか。
三 御意見を伺う場の第一回、第二回とも、「御意見を伺う」対象は経産省が選んだ出席者のみだった。「御意見を伺う場」開催にあたっては、公募をするべきではないか。公募しないのであれば公募しない理由を明らかにされたい。
五 広く意見を募集するためには、一方的に意見を受けるだけでなく、双方向の質疑応答ができる説明会を福島県内および全国各地で行うべきではないか。
【回答(概要)】
二、三、五について
広く全国から意見を聴くことができるようにするため、書面での意見募集を行っており、「御意見を伺う場」においては、これまで地元自治体や農林水産業者を始めとした幅広関係者から意見を聴いており、今後もこれらの方法により意見聴取を行ってまいりたい。
四 経産省は「広く書面での意見募集も行います」として四月六日に「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する書面での意見公募要領」を発表したが、意見提出は、「一者一回のみ」「A四サイズ一枚以内(二〇〇〇文字以内)に記載してください」と制限を設けた。原発ゼロの会の九日のヒアリングでは、一回に限る必要はない旨を経産省は回答した。その変更の旨をどのように広く知らせるのか。また、五月十五日までの募集期限を延長すべきではないか。
【回答(概要)】
四について
御指摘の「一回に限る必要はない旨」については、4月14日、経産省のホームページを更新し、その旨を明示して周知を図っている。募集期限は5月15日までとしている。
六 経産省が検討している海洋放出や水蒸気放出、その他外部から提案されている代替案による影響の範囲は必ずしも福島県内には止まらない。輸出の観点からは、日本全国の生産者にも関係がある。福島県農業協同組合中央会、福島県森林組合連合会、福島県漁業協同組合連合会の意見が重視されるべきであると同様に、他県や全国の生産者からも意見を聞くべきではないか。
【回答(概要)】
六について
福島県外からも意見を聴くことを予定しているが、具体的な対象者等については、今後、更に検討していくこととしている。