7月30日、超党派議連「原発ゼロの会」事務局長として、復興大臣と農水大臣への要請を行いました。
7月2日ヒアリングで、復興庁の「福島再生加速化交付金」のうち、
農水省が交付決定を行う「木質バイオマス関連施設整備事業」は、
燃料に「放射性物質の付着した樹皮及びキノコ原木等の木質系廃棄物等」を
利用することを推進する事業であることを確認しました。
そこで、以下の理由と、労働環境および周辺住民環境保全等の観点から、
これは、政府の交付金で推進すべきものではない、中止すべきであるとの要請書を
世話人会議でまとめ、7月30日、復興大臣および農水大臣あての要請を提出、
横山信一復興副大臣と、林野庁長官と懇談しました。(写真は懇談の様子)
なお、以下、理由の3番目については、7月28日に飯舘村が事業者を選定し、
実施主体が公表されましたが、選定された「飯舘バイオパートナーズ株式会社」
(https://www.vill.iitate.fukushima.jp/soshiki/4/6042.html)は、
汚染者である「東京電力ホールディングス」、「東京パワーテクノロジー」、
および「熊谷組」、「神鋼環境ソリューショ」の4社が出資し、6月25日に設立したばかりの事業体であることがわかりました。
(https://www.tepco.co.jp/press/release/2020/1547330_8710.html )
【交付金事業の中止要請理由】
1.樹皮やキノコ原木は被災12市町村に限らず、汚染が激しく、焼却の結果、高濃
度な焼却灰が生じる可能性が高い。ところが、放射能汚染物質対処特措法で厳重に管
理すべき8000ベクレル/kgを超えても、事業者が申請しない限りは、国の管理責任
は生じず、健康被害や環境汚染が起きても汚染者責任もあいまいとなる。
2.当交付金の採択基準では、「発電燃料とする未利用間伐材等の地域材及びその他
の燃料について種類ごとの使用量及び調達方法」を明らかにするよう求めている。と
ころが、既にこの交付金で木質バイオマス発電所を建設中の田村市における事業で
は、燃料調達計画や事業計画が、開示請求によっても黒塗りでしか提供されなかった
報告がある。採択基準を充足していないにもかかわらず、交付決定が取り消されてい
ないなど、交付金の運用がズサンであることが明らかである。
3.同採択基準で示された「地域材」の範囲が不明確である。飯舘村は現在、交付金
活用を前提に、実施主体募集要領で、「放射性物質の影響を受けている材木等やバー
ク(樹皮等)」が「福島県内で年間約10万トン発生」しているとし、全県から汚染樹
皮を収集しようとしている。結果的に、事実上、放射能汚染された森林の焼却処分を
木質バイオマス発電の名で行うことになり、問題がある。
4.当交付金の趣旨には、処理後は「未利用間伐材等を活用してエネルギーを持続的
かつ安定的に供給する仕組みを構築」し、「林業の活性化や雇用の確保等を図る」と
ある。しかし、森林総研などの研究で、森林内の放射性物質の8~9割は土壌表層5
cm以内に残留し、循環するという結果が示されており、豪雨等による流出が懸念され
る。また、林業者が被ばく防護を必要とする環境で林業活性化や森林再生を計画する
ことは非倫理的である。
5.木質バイオマス発電は、FIT法により「環境への負荷の低減を図る」目的で推
進されているが、集めて焼却を行っても放射能は低減しないどころか、濃縮されて環
境への負荷は上がる。FIT法の趣旨に反する木質バイオマス発電に公金を投じるべ
きではない。
【原発ゼロの会のHPリンクはこちら】
■福島再生加速化交付金「木質バイオマス関連施設整備事業」の中止を求める要請活
動
http://blog.livedoor.jp/gempatsu0/archives/23255366.html
■福島再生加速化交付金「木質バイオマス関連施設整備事業」の中止を求める要請書
http://blog.livedoor.jp/gempatsu0/archives/23255727.html
参考資料とともに
【赤旗記事に掲載されました】
■バイオマス事業やめよ
超党派原発ゼロの会が要請 2020年7月31日(金)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-07-31/2020073115_02_1.html?fbclid=Iw
AR3_FzLF9MDoDEiktyS-MLR0K6R9YrQpCqQENWtLnQwx4EHSLcXGMxVGwCM
要請参加は以下の6名でした。
・近藤昭一 衆議院議員(共同代表)
・初鹿明博 衆議院議員
・真山勇一 参議院議員
・笠井亮 衆議院議員
・嘉田由紀子 参議院議員
・阿部知子 衆議院議員(事務局長)
本郷浩二 林野庁長官に要請