いよいよ、4/12から高齢者に対する新型コロナウイルスワクチンの接種が始まります。これまでの医療従事者に対する先行接種の状況や副反応への対応について、厚生労働大臣に質しました。また、新型コロナウイルス感染症から回復した後に、後遺症状やうつのような病態に悩まされる事例が報告されていますが、労災補償の状況について実例をあげながら是正を求めました。
1. 新型コロナワクチン副反応の長期フォロー体制について
1)HPVワクチンの教訓に学び、追跡調査のシステムを
新型コロナウイルスワクチンは対象疾患の病態自体に未解明の部分がある上に、新型コロナウイルスの遺伝情報を人に接種する新しい仕組みのワクチンであり、神経免疫系統等に現在の知見の及ばない長期的な副反応も想定されます。
現在接種されているファイザー製ワクチン、「コミナティ」は医療機関からの報告に限っても、現在までに重篤な副反応が100万接種あたり257件報告され、これは子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の3.3~2.7倍に相当する数です。(資料①)
さらにアラフィラキシーも、国際標準の報告レベルは100万接種あたり81件(WHOでは2,3件)と高いのではないかと大臣の認識を問いました。さらに、多様な副反応が想定されるため、期間を区切らずに報告させること、集団接種の場合は
体調の変化を感じた時に相談しやすい窓口を身近な市町村に設置し、確実に医療機関に繋ぐことの重要性を質しました。
2)VRSにマイナンバーを活用する危険性について
今回新たに構築されたワクチン接種記録システム(VRS)は、各自治体が保有する住基台帳や予防接種台帳から個人のマイナンバー情報がそのまま民間のクラウドに保存されることから、流出のリスクが各方面から指摘されています。
すでにお薬手帳をはじめ、母子手帳やワクチン接種などにおいて、自らの健康管理システムとしてデジタル化は進められてきました。個人が取得したIDで、データ管理や閲覧履歴、双方向の情報共有が可能となる仕組みです。マイナンバーを活用するビッグデータ管理ではなく、個人情報とデータを分離して管理し、セキュリティを高めることが大切と訴えました。
2. 新型コロナ感染症の後遺症状に対する労災補償について
1)新型コロナウイルス感染症の後遺障害について
新型コロナウイルス感染症は、回復した後も引き続き様々な症状(微熱、倦怠感、胸痛、関節炎、息苦しさ等)に悩まされる事例が多いとされています。海外ではLong COVIDといわれ、「長期症状」「随伴症状」「遷延する症状」「いわゆる後遺症」などとされ、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)との関係性が指摘されています。
こうした病態の解明に向けて、令和2年度から厚労省研究班で3種の研究が行われています。(資料④)安易にコロナ後遺症として結論付けず、あらゆる角度から取り組むべきと釘を刺しました。
2)コロナの後遺症状による休業給付の停止について
そうした中、新型コロナ感染症に係る労災認定を受けた被災者が退院後も回復しない症状に心療内科を受診したことから、調査を理由とした4カ月に及ぶ休業補償の停止事例が起きました。
阿部とも子は、身体状態がどんどん悪化していく状況で、精神科は早期に介入したほうが治療効果は高く、受診を遠ざけることがあってはならないとし、これまで精神的な症状で労災認定されたケースは何件かとの問いに2件という答弁を得ました。今後、休業給付の支給停止、打ち切りの事案が相当数出てくる可能性がありますが、長期に続く後遺症状や合併症について医学的な因果関係が解明されていない段階で、むやみに労災給付を打ち切ってはならないと重ねて質しました。
3. 労働災害への安全対策は予防原則で。
食品香料製造工場において合成香料ジアセチルの蒸気を吸引したことにより閉塞性肺疾患を発症した労働者について、昨年12月、日本で初となる労災認定を行いました。
ジアセチルは食品フレーバーとして様々な食品に使われており、全国で35社あるとのことです。
今回の労災認定事例について、①ジアセチルを扱う関連業界に対する注意喚起と、安全対策の徹底と再発防止、②閉塞性肺疾患を発症した労働者の有無を調査、を訴えました。厚労省は医学的な因果関係が必ずしも明らかではないと退けましたが、例えば石綿による中皮腫は、その医学的な発生メカニズムがいまだに不明ですが、石綿が原因であるのは疫学的にも明らかなので、使用禁止措置や解体現場での予防対策などが取られています。ジアセチルも労災認定一例目で注意喚起をしなければまた新たな被害者が出ると、注意喚起を強く求めました。
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