障害者差別解消法改正案について質疑を行いました。
1. 現行法が十分に機能してきたのかについての現状認識。
1)「身体障害者補助犬法」について
2002年5月に成立した身体障害者補助犬法は、障害者差別解消法の先駆けともいえる画期的な法律です。2007年12月の改正時には、相談窓口の設置とともに一定規模以上の民間企業には補助犬使用者の雇用受入を義務づけ、障害者雇用の場を拡大しました。けれども成立から20年経た現在、レストランやタクシーなどでいまだに受け入れ拒否は後を絶たず、昨年4月には救急搬送された盲導犬ユーザーが、盲導犬の「乗車拒否」を受けた事例などを取り上げ、差別解消法施行後も変わらない実態があることを指摘しました。
2) 障害当事者の参画を基本方針に。
では、差別解消法そのものは機能してきたのでしょうか。障害者団体が施行1年後に行った相談窓口に着目した調査では、差別的扱いを受けた時に相談できる窓口があることを知っているのはわずか3割でした。さらに悲しいことに7割が相談しても解決しなかったと答えています。
【阿部知子】
大阪府では具体的な事例を記載して障害者差別解消ガイドラインを作り、紛争解決の仕組みとして、当事者を入れた合議体であっせんや助言を実施。また、障害者団体に相談して解決が図られた事例も少なくない。広島県では受け入れ拒否などの苦情相談を県、市等と情報共有し、啓発活動も自治体との連携で実施しているなど、紛争解決にあたっては障害当事者の役割が大きい。ピアサポート体制を強化すべきではないか。
坂本哲志内閣府担当大臣】
内閣府では様々な事例収集をして合理的配慮の事例集として公表をしてきたところ。特に相談体制の充実を望む声が大きかったと認識している。当事者の参画は非常に重要だと考えている。
さらに当事者参画原則を基本方針に入れるべきとの阿部知子の指摘に、幅広く検討して行きたいと答弁しました。
2. 障害者のホーム転落事故の検証について
2006年のバリアフリー法施行で、全国9.500カ所の駅のうちホームドア設置駅はようやく858駅に。全国的には遠い道のりですが、この間視覚障害者のホーム転落事故が相次いでいます。
【阿部知子】
国交省では再発防止に向けた検討会などを設置し、コスト面からホームドア設置以外の対策も検討していると聞く。しかし、命をダイレクトに守るホームドア設置が必須であることは明白。こうした部分には優先して国の補助率を上げよ。
また、事故検証会議を常設し、常に事故予防の観点から歩行訓練士などの専門家や当事者を参画させ、意見を反映すべきではないか。
【朝日健太郎 国交政務官】
ホームドアのコスト削減と併せ、導入の手引きを作り、周知を図っているところ。また、事故の検証に当たっては当事者や専門家にヒアリングをしている。
この答弁に阿部とも子は、「必要な時だけヒアリングではなく、初めから委員として入り、施策そのものに声を反映しなければ意味がない」と釘を刺しました。
3. 視覚障害者のリハビリテーション・歩行訓練について
視覚障害者、特にロービジョン(弱視)や中途視覚障害者が増えていますが、中途視覚障害者こそ、在宅でのリハビリが必要です。でも突然の失明宣告に、なすすべもなく家にひきこもってしまうケースが少なくありません。視覚障害者に特化した訪問訓練(自立訓練)を充実する必要があります。
【阿部知子】
歩行訓練を含む生活訓練がまず必要だが、現在日常生活支援で実施している訪問訓練はほとんど機能していない。訪問リハなどのように住み慣れた自宅周辺で歩行訓練ができるよう、訪問訓練をきちんと制度化すべきではないか。
また、そのために必要となる歩行訓練士の国家資格化を検討して頂けないか。まず第1歩として、視覚障害者向け歩行訓練等に関する総合的な調査を行って頂きたい。
【大隈和英 厚労政務官】
現在の歩行訓練の充実に向けて、潜在的なニーズを的確に把握するとともに、歩行訓練士の養成体制などにも多面的に見直しの対象にしていきたい。
向きな答弁ではありましたが、いつでもどこでもだれでも受けられる歩行訓練のためにまずは、当事者の声を聞くという姿勢が大切と締めくくりました。
動画はこちら(質疑者一覧から阿部知子を選んでクリックしてください)