臨時国会開会の翌日(12月7日)に阿部とも子が提出した「公害訴訟における迅速な審理に関する質問主意書」の岸田文雄首相からの政府答弁書が12月17日に閣議決定されました。
この質問主意書は、熊本地方裁判所で始まった「ノーモア・ミナマタ第二次国賠訴訟」が、提訴から8年半が経過、原告団(1405名)の平均年齢が73歳を超え、150名以上が亡くなってしまったことから、裁判所が被告の一部(54名)の審理を2023年3月に終結することを提案していることについて、政府見解を尋ねたものです。
民事訴訟法(第147条の2)は、裁判所も当事者も、迅速な裁判のため、「訴訟手続の計画的な進行を図らなければならない」と定めています。原告は、審理終結に同意しましたが、被告である国、熊本県、チッソは異議を唱えています。
問1では、
裁判所の提案は民事訴訟法の趣旨にそっているのに、国は、なぜ迅速な審理に異議を唱えているのか。聞いたところ、岸田首相は「係争中」だから「差し控えたい」と答弁を避けました。
問2でも、
被告は高齢化しているのだから、迅速化は重要ではないかと尋ねました。しかし「第2条(裁判所は、民事訴訟が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない)」を持ち出し、裁判所は「迅速化」、当事者である国は「適切な訴訟進行」に努めるのだと、正面からの答弁を避けました。
国は15日に森友学園への国有地売却を巡る公文書改ざんを強いられた赤木俊夫さんの遺族による損害賠償訴訟では、事実を裁判で明らかにされたくないために裁判に幕引きを図ったばかりです。一方で、迅速さが求められている公害訴訟で引き延ばしを図っています。どちらも非人道的だと言わざるを得ません。
■公害訴訟における迅速な審理に関する質問主意書リンク
■公害訴訟における迅速な審理に関する質問主意書 政府答弁
衆質7(阿部知子君)公害訴訟における迅速な審理に関する質問主意書.pdf