2019/10/07

拙速なカジノ「基本方針案」について要請と質問主意書を提出

 阿部知子は、国会開会日の10月4日に、「カジノを含む特定複合観光施設区域整備のための基本方針案に関する質問主意書」を提出しました。提出の背景は以下の通りです。

 国土交通省(観光庁)は9月4日に、特定複合観光施設区域整備法(IR整備法)に基づく基本方針案を公表し、10月3日まで国民からの意見募集(パブコメ)を実施すると発表しました。

 このやり方は4つの理由で看過できません。

 第1に、国はこれまで「カジノ管理委員会」を設置後に「基本方針案の策定・パブコメ」を行うと説明を行ってきました(下図:説明資料P.21「開業までのプロセス」)。ところが、カジノ管理委員会は未設置なのです。この説明はウソだったことになります。

開業までのプロセス.jpg

 第2に、このパブコメ期間は行政手続法に基づく最低限の意見募集期間(30日以内)であり、短すぎです。基本方針案 は長文、複雑であるだけでなく、この1カ月の間には、台風15号の影響による停電や被災により、情報にアクセスができなかった国民が多数いました。

 第3に、IR整備法成立時の参議院附帯決議30は、「政府は、本法に基づく政省令等を定めるに当たっては、国会における議論を踏まえて検討を行うとともに、国会及び国民に対し十分な説明を尽くすこと」としていました。ところが、パブコメの締め切りは臨時国会開会の前日であり、この拙速なやり方について、国会論戦を通じて是正を求める機会すらありません。

 第4に、基本方針案P.27によれば、国土交通大臣が全国で上限3つのカジノを認定する際、法律にも政令にも定めがない「審査委員会」を非公開で開いて決定するとしています。

 以上の点から、阿部知子は、9月18日に観光庁と内閣府に対し、関心ある一般住民および議員有志らと共に、基本方針案の説明を求めました。

第一回ヒアリング.JPG

 そのヒアリング結果をもとに基に、9月25日には「カジノを含むIR整備のための基本方針案に関する国土交通大臣への要請」(下記)を提出しました。しかし、大臣の誠実な対応は得られなかったため、第2回ヒアリングを開催、大臣に求めた手続上の問題のみならず、基本方針案の内容についても是正を求めました。 

 それでもなお、妥当な回答が得られなかったため、「IR整備推進本部長たる安倍晋三内閣総理大臣の見解を求める」として、パブコメ締め切りの翌日である国会開会日に、質問主意書を提出しました。答弁の予定は10月15日です。

■ カジノを含むIR整備のための基本方針案に関する国土交通大臣への要請.pd.pdf

■ カジノを含む特定複合観光施設区域整備のための基本方針案に関する質問主意書.pdf

【関係報道】

パブコメ、3日締め切り 政府の基本方針案」神奈川新聞2019年10月1日