阿部とも子が社会福祉法等の一部改正案に、党を代表して反対討論を行いました。
(以下内容です。)
立国社の阿部とも子です。
「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案」に反対の討論を行います。
反対の理由は審議の前提が整っていないことに尽きます。
第一に、新型コロナ禍に見舞われている最中、まして黒川検事総長辞任で総理の任命責任が問われる中、せかされるように審議、採決すべきではありません。
今回の法案は、主な法律だけを挙げても、社会福祉法、介護保険法、老人福祉法、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律、社会福祉士及び介護法と相変わらず数多くの法律を束ねています。
そして、審議の中で指摘されたのは、全国各所の介護施設で起きている入所者と介護者の集団感染です。報告があるだけで40の高齢者福祉施設で集団感染が起き、感染者は446人、死亡は39人いることが分かりました。歯止めをかけるには何がなされなければならないかを最優先するべきでした。
また、日本が今、大きく依存しようとしている外国人介護人材の実情から目を背けるべきではありません。EPA、在留資格「介護」、技能実習、特定技能1号、と次々と新たな名目で外国人介護人材の受入れの仕組みを作ってきました。
ところが、いま新型コロナの蔓延により、技能実習を終えても日本から出られず困窮する人から、介護福祉士の養成施設に入学したものの、親御さんが心配して帰国せよと言われ悩む留学生まで、人道的観点からも優先すべきは目の前の外国人材への支援のあり方です。
第二に、法案の中身です。とりわけ束ねた法案の一つ、「社会福祉士及び介護法の改正案」についてです。平成19年改正で福祉系高校を出ても、実務経験を重ねても、養成施設を出ても、誰もが「介護福祉士」の国家資格を合格することを義務付けました。
しかし、平成18年に締結したフィリピンとのEPA(経済連携協定)との整合性確保のために、養成施設を出て5年就労すれば介護福祉士になれるという経過措置をつけ、同時に、その経過措置が終わっても、不合格となった場合の「准介護福祉士」資格が創設されました。
しかし、それはあくまで、フィリピンとのEPAとの整合性を確保する暫定措置でした。ところがその後、この暫定的な経過措置が、養成施設卒業者にだけ適用されたまま、諸々の理由をつけて何回も延長されてきました。
国会はその解消をその都度、附帯決議して、行政に求めてきました。
平成28年改正のときも、
「准介護福祉士の国家資格については、フィリピンとの間の経済連携協定との整合を確保する観点にも配慮して暫定的に置かれたものであることから、早急にフィリピン側と協議を行う等の対応を行うとともに、当該協議の状況も勘案」するとしました。
ところが、協議内容を聞いても、その日時すら国会には明らかにされません。
一つ一つの法案の問題点を法案の束に隠し、直面する新型コロナ感染症から介護人材を守るための処遇改善はなおざりに、外国人介護人材に関する立法事実を外交の壁の中に隠し、そんな無責任な内閣提出法案のあり方を、これ以上、許容することはできません。
国会はまず総理の黒川検事超任命責任を明らかにするとともに、コロナ感染症対策に全力をあげるべきです。本日の審議の前提を欠いた採決にも反対し、審議の延期を求めます。
以上、反対討論と致します。
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